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高2でラグビー始めてリーグワンへ。関東学大・髙田凱斗が貴ぶ「感謝」と「優しさ」。

2025.11.20

関東学大のスクラムリーダー、PR髙田凱斗(撮影:福地和男)

 人の支えを実感する。

 関東学大ラグビー部4年の髙田凱斗は身長183センチ、体重115キロの右PR。スクラム、突進、タックルで存在感を示す。

 卒業後は国内リーグワン1部のクラブへ加わる。将来を展望する。

「(進路先の)レベルが高いので、しっかりアピールを。入るまでも大事ですが、入った後も大事。先輩のプレーを見させていただいて、持ち味を表現して、後々は試合に出たいです」

 もともと野球をしていた。おもに「ファースト」だ。しかし愛媛の松山聖陵高へ進むと、ストレス起因の病で視界がゆがんだ。

 白球が二重、もしくはぶれて見えるようになった。競技を続けられなくなった。

 野球部を辞めるに先立ち、ラブコールをもらった。ラグビー部の渡辺悠太監督からだ。

 スポーツ推薦で入った学校でバットを置くことに「悔いが残った」のは確かだが、「切り替える時がないといつまでもそこに止まってばかり」。2年生の途中で転部した。すぐに新しいスポーツの魅力にはまった。

 ポジションは最初のWTBから徐々に前方へ移し、最後は現在の右PRに入った。渡辺や磯川哲平部長に「上を目指すならば」と勧められた位置だ。その流れで関東学大行きへの道筋つけながら、高校最後の全国大会でトライも決められた。

「リーグワンに行けるのも、渡辺先生や磯川先生(のおかげ)。感謝しています」

 次第に目が改善されてもなお、楕円球のフィールドに立つ。

「いまはラグビーが楽しくて。身体を活かすプレーができる」

 転向当初は70キロ程度も、約2カ月で100キロを超えた。トレーニングに加え、日々の食卓にも助けられた。シングルで育ててくれた父の特製カレーが好きだ。

「野菜はいっぱい。鶏肉も豚肉も、エビ、カニ、イカ、ホタテも入っていて…。すごくおいしいです。(家族に)やりたいことを自由にやらせてくれたことが、現在に繋がっています。お父さんは優しいので、自分も(人に)優しさを持って接していきたいです」

 所属する関東学大は、近年、加盟する関東大学リーグ戦では昇降格を繰り返していた。

 しかし1部復帰2シーズン目の今季は、初戦で前年度首位の大東大を撃破。その後も白星を重ね、6戦を経て3勝3敗で8チーム中4位についている。

 最終戦の結果次第では3位となり、2011年度以来の大学選手権出場を果たせる。

 さかのぼって今年2月、髙田は関東学大OBで日本代表の稲垣啓太に会う機会を得た。スクラムでペナルティーをしない大切さをはじめ、最前列の掟を再確認している。

 ラストマッチは29日。東京・AGFフィールドで日大とぶつかる。重要な一戦でも名手の助言に倣い、堅実に働きたい。

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