できるプレーは誇らない。できなかったプレーが気になる。
試合に負けたらなおさらだ。帝京大ラグビー部で普段はムードメーカーの森山飛翔は、取材エリアで消え入る声を残した。
「きょうは、誰がどう見ても僕のせいです」
身長180センチ、体重109キロのサイズでジャージー姿は逆三角形のフォルム。最前列で踏ん張る右PRながら、走り回って強いコンタクトを重ねられる。
昨年は日本代表にも名を連ねた3年生部員は、この11月16日、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦Aの明大戦に挑んだ。
直近の早大戦を25-20で制して自信を持ってフィールドに立ち、要所で攻守逆転に成功した。
もっとも自陣ゴール前で、対するNO8の利川桐生副将のランとハンドオフを食らうこと2回。混沌とした状況で各自が誰をマークするのかが定まらないうちに、勢いよく突っ切られた。いずれの場面でも、最終的には向こうのトライを許した。
さらにラストワンプレーでの失点で、17-21と屈した。自身が交替した3分後のことだ。
いつもタフなトレーニングで鍛えるクラブにあって、失意の主軸はこう漏らした。
「練習が自信をつけさせてくれるので、練習するだけかなと。勝っていないので、まだハードじゃなかったのだと思います」
見直したいプレーには他に、スクラムがある。
8対8でぶつかる際、何度も塊を故意に崩すコラプシングの反則を取られた。対面の田代大介のプレッシャーを受けたり、鋭くヒットしながら田代と距離があったため地面に落ちたり。
現役時代に森山と同じポジションだった帝京大の相馬朋和監督が「結果のところがよくなかったですね。以上です」と言葉を選ぶなか、本人は繊細な駆け引きをこうひも解く。
「感覚としてはよかったのですが、レフリーが相手に吹いた(ペナルティーキックを与えた)のなら、見直して、ひとつずつ積み重ねないと」
シーズンは続く。対抗戦の最終節は30日に埼玉・熊谷ラグビー場であり、慶大を迎え撃つ。年末年始の選手権も見据え、森山は「まだ(次が)あるのはいいこと。成長できる」と頷く。
