練習時間はほぼ倍になったと言えよう。
ジャパンラグビーリーグワン1部に参加する横浜キヤノンイーグルスは、今季から体制刷新した。
2020年から5シーズン率いた沢木敬介前監督が前年度限りで退任。新ヘッドコーチには、ニュージーランドのブルーズを指揮していたレオン・マクドナルドが就いた。
前体制は早朝から午前中にすべての全体メニューを済ませたのに対し、現スタッフは午前と午後の2部構成でセッションを組む。
リーダー陣のひとり、梶村祐介はこう捉える。
「前は大分コンパクトだったのですが、いまはチームとしてのコネクションを取る時間が長くなっています。ハードですけど、新鮮といえば新鮮です」
過去3シーズン主将を務めたCTBの梶村は、「自分自身のパフォーマンスにフォーカスしたいと思っていた。主将から外れたのはいいタイミング」。船頭役を離れてもなおマクドナルドにリーダーを託されたのをこう解釈する。
「チームの先頭に立ってやるべきことをやってほしいという首脳陣の意図も、理解しています」
その意気込みの表れか。以前よりもチームで動く時間が伸びたにもかかわらず、個別で繋がるトレーナーに渡されたメニューは必ず消化する。
疲れや帰宅のタイミングを考慮して翌日に持ち越すことは、決してない。周りの選手がそう証言した。
本人は言う。
「自分の性格上、後回しにしたらやらなくなる。やれることはその日のうちに終わらせたいなと。また、(週ごとに課された個人トレーニングを)週末に詰め込むと、(土日の)ゲームに支障が出る。できるだけ週明けにやるようにはしています」
己を戒めているのだ。
11月15日には都内にある本拠地のキヤノンスポーツパークで、埼玉パナソニックワイルドナイツとの練習試合へ出場。40分を3セットおこなう変則マッチにて、80分プレーして鋭いランやタックルで沸かせた。
最終スコアで43-53と上回られながら、「レオンのやりたいラグビーが理解できてきて、(前年度の上位陣との対戦により)一気に強度が上がったなかでできたこと、できないことがはっきりした」と振り返った。
新生イーグルスにあっては、「ボールを動かすことは(従来と)変わっていません。ただ、シェイプ(攻撃布陣)のディテールを詰めるようになった」。さらには…。
「コンテストキック(高い弾道の競り合い)を、より意思を持ってやるようになった。いまのラグビーではキックでボールを手放し、それをいかに奪っていくかの繰り返し。そこを重視しています」
22年度からはクラブ史上初を含む2シーズン連続での4強入りを果たすも、前年度は12チーム中8位と苦しんだ。再浮上が待たれる。12月14日、神奈川・日産スタジアムで静岡ブルーレヴズとの開幕節に挑む。
