ラグビーリパブリック

「日本全体が“応援しよう!”となる秋に」。大西将太郎&豊原謙二郎が11月のラグビー日本代表戦4連戦への期待を熱弁。

2025.10.23

豊原謙二郎アナ(左)と大西将太郎氏

 運命の瞬間が刻一刻と迫っている。「超速ラグビー」を標榜し、日々進化し続けているラグビー日本代表は、来たる11月に南アフリカ、アイルランド、ウエールズ、ジョージアとの4連戦を迎える。

 WOWOWではこの日本代表戦4試合をはじめ、北半球と南半球の強豪が5週連続で相見える「キルター・ネーションズシリーズ」を放送・配信。22試合をお届けする。

 南アフリカは日本代表が10年前の2015年W杯(ワールドカップ)イングランド大会で歴史的勝利を挙げた相手だけに、同じイングランドでの再戦には日本のみならず世界が刮目している。キルター・ネーションズシリーズのアイルランド戦とウエールズ戦、そしてジョージアとのテストマッチも日本代表としての力が試される、いずれ劣らぬ大一番だ。

 今回は「南アフリカvs日本」を解説する元日本代表の大西将太郎さんと実況の元NHKアナウンサー豊原謙二郎さんに、日本代表とキルター・ネーションズシリーズへの期待をうかがった。FL/LO(フランカー/ロック)リーチ マイケル選手を囲んで行われた番組の収録直後とあって、リーチ選手への思いも込められた熱いインタビューとなった。

ラグビー日本代表戦 4週連続WOWOWで!
11/2(日)午前0:45「日本vs南アフリカ」生中継

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──11月は日本代表が4週連続で強豪と対戦します。

大西将太郎(以下、大西) 日本代表に限らないことですが、勝つか勝たないかで国内の盛り上がり方が大きく変わってきますので、やはり結果が大事です。2027年W杯まであと2年を切りました。日本代表もここから勝っていって日本全体が「応援しよう! 盛り上がっていこう!」という雰囲気になっていく、そんな秋のシリーズになってほしいですね。

豊原謙二郎(以下、豊原) 10月のオーストラリア、そして11月の南アフリカ、アイルランド、ウエールズ、ジョージア、といった国に対しても「“いい試合”で終わってはダメだ」という覚悟をリーチ選手の言葉から感じましたし、その域まで日本ラグビーを引き上げてくれました。だからこそ、日本のスポーツ界のマインドセットを変えてくれた15年W杯のように、今回の秋のシリーズでも日本ラグビーのマインドセットがもう一段階上がる、そんなテストマッチになってほしいと思っています。

”ブライトンの奇跡”と呼ばれた2015年W杯の南アフリカ戦 (Getty Images)

──お二人が特に注目しているのはどのカードでしょうか?

豊原 もちろん全試合に注目しているのですが、私が実況を担当させていただくことや、10年前のW杯での対戦のことも踏まえますと、やはり11月2日(日)の南アフリカ戦に注目しています。南アフリカも日本もお互い10年が経ち、大きく変わりました。南アフリカの日本に対する態度も当時とは変わりそうな状況で、日本がどういう試合を見せてくれるのかが楽しみです。そして私たち自身も「自分はこの10年でどう成長したのか」を見つめるいい機会になると考えています。

大西 私も解説させていただく南アフリカ戦は、10年前の対戦のマン・オブ・ザ・マッチの田中史朗さんによるゲスト解説も楽しみです。当時それぞれ違う立場からあの南アフリカ戦に携わっていた私たちが、10年経った今も日本代表としてプレーしているリーチ選手について語れるのも幸せなことですね。そしてもうひとつ私が注目しているのはウェールズ戦です。7月に日本で2回対戦し、1勝1敗という結果でした。今度は日本代表が敵地に乗り込んで決着をつける3戦目になりますので、ホームのウェールズに勝つことができるのか、大いに注目しています。

──そんなカードのなかで警戒すべき相手選手、見逃せない選手をそれぞれお願いします。

大西 ウエールズに関しては、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズに選出されたことで7月の日本代表戦は不参加だったFLジャック・モーガン選手に注目しています。キャプテンでもありますし、彼ひとりが入ることでチーム全体が変わる、日本代表で言えばリーチ選手のような存在です。秋はまたウエールズ代表に入るでしょうから、彼らがもし同じ7番をつけて対峙すればさらにおもしろさが増すのではないでしょうか。

ウエールズ代表のFLジャック・モーガン(Getty Images)

豊原 南アフリカの注目は、ザ・ラグビーチャンピオンシップ第5節のアルゼンチン戦で衝撃的なプレーを見せたSO(スタンドオフ)サシャ・ファインバーグ=ムンゴメズル選手です。僭越ながら、私はその開幕前のインタビューで「南アフリカのハーフ団はずっと同じ選手が出ており、特にSOハンドレ・ポラードが長くプレーしている。2027年W杯を考えるとそれ以外の選手が出てこないと」という話をさせていただいたのですが、ここで出てきました。世界のラグビーをドミネート(圧倒)してしまうのでは、というくらい衝撃的なプレーを見せましたので、日本代表がどのように対峙するのか楽しみにしています。

南アフリカ代表のSOサシャ・ファインバーグ=ムンゴメズル (Getty Images)

──彼らと相対する日本代表の注目選手もお願いします。

豊原 HO(フッカー)江良颯選手とWTB(ウイング)石田吉平選手ですね。あの(決して大きくない)サイズ感でスピードもある、世界にはいないタイプの選手だと思っています。HOにはいい選手がたくさんいますが、なかでも江良選手はスクラムが強く、ラインアウトも上手で、若いのに落ち着きがあります。可能性を感じていますし、世界的にもユニークな存在として才能を発揮してほしいです。小柄なのに(スピードで)世界を驚かせた吉田義人さん(元日本代表WTB)のような活躍を期待したい石田選手にも同じことが言えますが、サイズの小さい日本のラガーマンに夢を与える存在になってほしいですね。

切れ味抜群のランでトライシーンに絡むWTB石田吉平 (Getty Images)

大西 僕は非常に安定してきたSO李承信選手です。10番(SO)を固定できるのはチームとして底上げが進み一つの方向に向かっている証拠だと思います。そして高い成功率を誇るプレースキックも大きな武器です。やはりテストマッチでは2点(トライ後のコンバージョンゴール)や3点(主にペナルティゴール)が重要なので、彼の正確なキックがチームを助けることになるはずです。このままゲームメイクも含めすべての面で自信をつけて、司令塔として日本代表を引っ張っていってほしいですね。FWは、リーグワンで結果を残している身長208cmのLOハリー・ホッキングス選手です。同じLOのワーナー・ディアンズ選手(201cm)より大きい選手がスコッドに入りました。私は近鉄(現・花園近鉄ライナーズ)時代に彼のお兄さんのトムと一緒にプレーしたので、ハリーのことをかなり前から知っていて、ずっと応援してきました。ぜひワーナーと2人でツインタワーを形成してほしいです。

安定したプレーメイクに加え、精度の高いゴールキックも武器となるSO李承信(Getty Images)

──日本代表戦のみならず、キルター・ネーションズシリーズ自体も世界トップチーム同士の真剣勝負の連続となっています。

大西 W杯が近づいてきているなかで、今回どのチームの仕上がり具合が一番いいのかがわかってきます。12月3日の2027年W杯プール組分け抽選(出場24チームを6プールに振り分ける抽選会。世界ランキングをもとに抽選が行われ、12月1日時点で12位以上なら有利なプール分けになる可能性が高い)までに世界ランキング12位以内に確実に入っているであろうチームと、そうでないチームとで立ち位置も緊張感も変わってきます。日本代表はまさにその当落線上にあり(10月13日現在13位)、全チームがランキング浮上を目標に戦いますので、本当に楽しみですね。

豊原 2019年W杯の開催中に、ワールドレベルのラグビーが毎日のようにたくさん見られて「幸せだな」と感じた記憶があるのですが、そんなテストマッチが5週連続で行われ、しかも日本代表と強豪の対戦も見られることは、私はお伝えする立場ではあるのですが、本当に幸せです。ジャパンのみなさんががんばってくれたおかげで私たちもこういう日常を手に入れることができて「最高だな」と思っています。ぜひこの5週間をみなさんに楽しんでいただきたいですし、私も楽しませていただきたいです。

大西 幸せな寝不足月間が始まります(笑)。

豊原 国内時差ボケ、がんばっていきましょう(笑)。

©JRFU、写真:アフロ

──最後に、あらためて日本代表への期待、思い描いている展望をお願いします。

豊原 私は「超速ラグビー」の正体を見たい、という思いがあります。まだその(完成に至るまでの)通過点だとは思いますが、なんとなく見えてきたとも感じています。しかも秋にはリーチ選手などが合流し、フルメンバーを組むことになります。2027年W杯までの折り返しの段階(W杯間の中間地点)で「超速ラグビーとはこういうものだ」というのをぜひ示してほしいです。選手たちも「こういう戦いをするんだ」という自信、土台を手にすれば、次の2年に向けて大きな収穫になると思います。そんな姿を見せてもらえる11月になることを期待しています。

大西 今回のような海外遠征では選手たちが一緒に過ごす時間が非常に長いのですが、自分の経験上、それはいい効果を生み出します。(8~9月の)パシフィックネーションズカップでも1カ月近いアメリカ遠征で日本代表のチーム力、結束力が上がったように感じました。今回はヨーロッパで長期間ともに過ごすことになりますので、ラグビー以外の部分でも話し合うことでチームとして結束力を高め「次のW杯はいける」という雰囲気作りをすることがファンのみなさんに応援してもらえるきっかけになると思います。日本代表にとっても非常に大事な期間なので、ぜひテレビの前で応援してほしいと思います。

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 決して見逃せない「南アフリカvs日本」での解説・実況に加えて、大西将太郎さんはキルター・ネーションズシリーズ第3週「イタリアvs南アフリカ」と第4週「アイルランドvs南アフリカ」も解説し、豊原謙二郎さんは第3週「ウェールズvs日本」も実況を担当。WOWOWはラグビーの魅力を万全の布陣でお届けする。

 11月は日本代表の現在地と未来が自ずと見えてくる4連戦と、世界最高峰の戦いが繰り広げられるキルター・ネーションズシリーズを、ぜひWOWOWでお楽しみいただきたい。

【WOWOWラグビー 11月 放送・配信スケジュール】

「4週連続日本代表戦!WOWOWラグビー SP」

11/2(日)  午前0:45~ 「南アフリカ vs 日本」 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド] 

11/8(土)  午後9:00~ 「アイルランド vs 日本」 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

11/16(日) 午前2:15~ 「ウエールズ vs 日本」 [WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]

11/22(土) 午後8:45~ 「ジョージア vs 日本」 [WOWOWオンデマンド]※ライブ配信のみ

「ラグビー テストマッチ 2025 キルター・ネーションズシリーズ」

11/1(土)~29(土) 20試合をライブ配信、注目10試合を放送 ※アーカイブ配信あり

<関連番組>

エディータイムズ2025 特別編「リーチ マイケル 人生の軌跡~桜を背負う男の生き様、そして未来へ~」

日本ラグビーの象徴、リーチ マイケルの“ラグビー選手”としての面と“ひとりの人間”としての両面に迫るスペシャルトーク番組。

出演/リーチ マイケル(ラグビー日本代表、東芝ブレイブルーパス東京)、大西将太郎(元ラグビー日本代表、WOWOWラグビー解説者)、豊原謙二郎(元NHKアナウンサー、スポーツキャスター)

WOWOWオンデマンド ラグビー(https://wod.wowow.co.jp/genre/rugby

WOWOW公式YouTube(https://www.youtube.com/user/WOWOWofficial

にて、10/25(土)より公開予定

「ラグビー日本代表 運命の南アフリカ戦生中継直前 SP」

11/1(土) [WOWOWライブ]

午後4:45~「ラグビー テストマッチ 2024 オータム・ネーションズシリーズ フランスvs日本」

午後7:00~「ラグビー テストマッチ 2024 オータム・ネーションズシリーズ イングランドvs日本」

午後9:20~「南アフリカ戦生中継直前!10年前の感動再び  ラグビーワールドカップTM 2015年大会 南アフリカvs日本」

午後11:20~ 映画『ブライトン・ミラクル』

※「ラグビーワールドカップTM 2015年大会 南アフリカvs日本」 と 映画『ブライトン・ミラクル』は、10/1(水)~配信あり

【WOWOWオンデマンド ラグビー】 https://wod.wowow.co.jp/genre/rugby

【WOWOWラグビー オフィシャルサイト】https://www.wowow.co.jp/sports/rugby/

【WOWOW ラグビー 公式 X】 https://twitter.com/wowow_rugby

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