ラグビーリパブリック

「タックルは今でも、怖い」とリーチ。静岡県の高校生がビッグ対談を企画、実現。

2025.10.22

リーチ選手との交流会に集まった子供たちと、一連の企画を主催した「科技高」ラグビー部。グラウンドが華やぐ

対談中の佐藤幹夫氏(左)、リーチ氏(中央)。会場は聴衆を収め切れないほどの熱気に


高校ラグビーの部員たちが叶えた魅力的な企画に、会場は300人の聴衆であふれ返った。

10月1日、静岡県立科学技術高校ラグビー部の生徒がリーチ・マイケル選手とその高校時代の恩師である佐藤幹夫氏(現札幌山の手高校総監督)を学校に招待し、スペシャル対談とラグビー交流会を実施した。

今回のイベントは、科学技術高の部員が小中学生を対象に、毎週水曜夜に実施をしている「放課後ラグビー教室」の10周年を記念したもの。静岡県教育委員会の「生徒が自ら企画し実現するドリームプロジェクト」に採択され、実現した。

生徒たちはリーチ選手、佐藤氏から、子どもたちにラグビーや人生で大切なことを伝えてもらうことを目指していた。対談の会場には、想定を上回る300名以上の人たちが集まり、窓ガラスからも二人の対談を一目見ようと、多くの人であふれ返った。

はじめに、佐藤総監督からリーチ選手の高校時代のエピソードが紹介された。

もともと小柄であったが、負けたくないという気持ちがとても強かったこと、悔しい思いをしたときは居残り練習を欠かさなかったこと。

日本代表キャップ90に迫るリーチ選手は、「タックルは、今でも怖い」という。

「だから毎日、チームで練習している。やればやるほど自信がつき、怖さにも慣れてくる。タックル練習は一人ではできないので、誰かをつかまえて一緒に練習するのがお勧めです」

また、リーチ選手は高校時代に、佐藤総監から絶えず「君は日本代表になる」と声をかけ続けられたことが、現在の自分につながったという。そのことに感謝をしていると話した。

佐藤総監督には質問も飛んだ。

「結果を求める外部の期待と、選手の人間的成長を大切にすることと。どう折り合いをつけていったのか」という難しい問い。佐藤総監督は、選手それぞれの成長に目を凝らすことを挙げた。

「ラグビーは15人でやるスポーツで、大きくて力のある選手もいれば足の速い選手もいる。上手い選手もいれば下手な選手も。それぞれが目指すレベルも違うが、そこへ向かって伸ばしてあげるのが教育だ。だから保護者には、本人の頑張りを認めることを日頃から意識していることを伝えてきた」(佐藤総監督)

リーチ選手と佐藤総監督を学校に呼ぼう! と考えたのは、2年生の杉本陽太君らラグビー部員たちだ。
3年生との最後の大会の直前にサプライズとなるよう準備を進めてきた。科学技術高校ラグビー部 黒田保則監督は「2年生はチームの中堅を担っている。そんな彼らが『よしやってみよう』と今回手を挙げたことに、ほほえましくもたくましさと感じている。チームビルディングの観点でもプラスになるだろう」と目を細めた。

静岡県立科学技術高は、すぐれた就職実績だけでなく、工業科のある高校では全国トップクラスの進学実績を誇る。ラグビー部は文武両道を追求
Exit mobile version