ラグビーリパブリック

廣瀬雄也の決意。「ジャージーを着続けるために毎日アピールしていかなくては」

2025.10.17

宮崎合宿でのトレーニング後、取材に応えるCTB廣瀬雄也(筆者撮影)

 秋に国内、欧州で難敵とぶつかるラグビー日本代表は、10月14、15日に宮崎合宿のセッションをメディアに公開した。

 折しも予備軍的なJAPAN XVと一部の代表組が中心となり、18日の大阪・ヨドコウ桜スタジアムでのオーストラリアA代表戦への準備を進めていた。実戦形式メニューでは、代表のレギュラー候補を相手役に立てた。

 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属の廣瀬雄也は、JAPAN XVのCTBへ入っていた。

 16日には、13番での先発が発表される。15日の活動後に汗だくのまま答えた。

「ハードな合宿を繰り返しています。これはヨーロッパツアーに向けて必要不可欠なトレーニングだと思っています。(秋からの)新しいメンバーもいるなか、皆が同じ画を見られるようにしたいです。ただ選ばれるだけではなく、ジャージーを着続けるために毎日アピールしていかなくてはいけないです」

 転機を迎えたばかりだ。8、9月のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)のためのキャンプへ追加招集されると、必死なファイトが買われた。8月30日の大会初戦で代表デビューを飾った。

「最初は日本代表の皆に歯が立たなかったのですが、次第にアピールして、テストマッチレベルへ…。まだまだだとは思いますが、短期間で成長できた」

 宮城・ユアテックスタジアム仙台で後半30分にピッチへ出て、力強いラン、タックルを披露した。カナダ代表を57-15で下した。当時を回想する。

「自分の姿が大きく変わる瞬間でした。最初のカナダ代表戦に出ていなかったら、全く違う景色を見ていたかもしれないです。あれから世界を見る目、それまでは憧れに近い存在だった日本代表への認識がどんどん変わってきています」

 渡米後の現地時間9月20日には、フィジー代表との決勝に先発した。当日になり、正アウトサイドCTBのディラン・ライリーが欠場することとなった。もともとリザーブにいた廣瀬が繰り上がったのだ。

「もともとライリーが行くかどうかは当日判断と言われ、僕が13番で練習していました。ライリーという要の存在の代わりとして選ばれたわけで。『ライリーがいないから、しゃあないな』となるのは、絶対に嫌でした。何とかライリーよりいいプレーをしないとな、と考えていました」

 世界ランクで4つ上回る9位の強豪に、27-33と惜敗。手応えと課題を口にする。

「スキル、フィジカルで通用する部分はありました。ただ接戦で冷静にいつも通りの力を出すかについては、(ゲームの)数をこなさないと得られないものだと感じています」

「フィジー代表に負けてから、僕も日本を代表して戦っていると再確認しました。中心選手になっていかなくてはいけない…と」

 身長182センチ、体重94キロの24歳。長いパスとキックが得意だ。もともと12番のインサイドCTBが主戦場も、代表では複数ポジションのカバーを期待される。フィジー代表戦では13番でキックオフを迎え、途中から15番のFBに回った。

「クボタの仲間にも『お前、15番やるの?』とびっくりされました。最初は12番へのプライドもありましたけど、こうしてテストマッチのレベルで色んなポジションを試されることは、未来に(いい形で)関わってくる。クボタでも試合に絡みやすくなる。できることを増やしていけば、自分の成長にも繋がる」

 いまはまず、オーストラリアA代表をにらむ。その後はオーストラリア代表、さらにはワールドカップ2連覇中の南アフリカ代表といった強豪国とぶつかる。「楽しみでしかない。何が足りないのかも、直接グラウンドで感じたい」と燃える。

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