ラグビーリパブリック

リコーブラックラムズ東京、中村部屋の力士と合同練習。土俵の知恵、スクラムに通ず

2025.10.14

十両・宮乃風がPR西和磨、HO大内真とスクラムを組む(撮影:編集部)

 10月10日、リコーブラックラムズ東京の練習グラウンドに、大相撲・中村部屋の力士が訪れ、合同練習がおこなわれた。

 ブラックラムズ東京では、2025-26シーズンから新たな選手教育プログラムを始めるなど、選手やスタッフが「常に学びを得られる環境づくり」を大切にしている。
 今回は、自身が相撲以外からも多くの学びを取り入れている中村親方(元・関脇嘉風)が、ブラックラムズ東京の考え方に共感したことがきっかけで実現した。

フロントロー陣と力士たちとで記念撮影。朝6時からエアロバイクを漕ぎ、2時間ほどスクラム、モールの動きを練習したのち、筋力トレーニングも共におこなった(撮影:編集部)

 FW陣と5人の力士たちは、まず1対1で押し合って力試し。力士たちは、自分たちよりもやや体格に勝る相手が押し込んでも、簡単に後ろには下がらない。
 タンバイ・マットソンHCは、その様子を興味深く見たのちに、「FWは繰り返し強いインパクトを受け続けるポジション。体重をどうコントロールしていくかを学びたい」と、足の裏の感覚や重心の動かし方などを細かく力士に尋ねていた。

素足になって、足裏の使い方、体のバランスの取り方などを学ぶ(撮影:編集部)

 続いて、スクラムマシーンを使いスクラムを組む。まずは一人で組み、映像を見ながら形を確認。そのあとは、実際に3人で組んでみる。瞬時に沈み込み、まっすぐに押す力士たち。タンバイHCら大柄な2人が乗ったマシーンが大きく動き、選手たちからは「おぉー」と驚嘆の声があがる。HO武井日向は、「足首がすごくやわらかい!」と、力士たちが低く強い姿勢をスムーズにとれる動きの秘訣を観察しながら探っていた。

おおいに盛り上がったモール練習。タンバイHCも熱い視線を注いでいた(撮影:編集部)

 最後は、体の動かし方についてさらにヒントを得るために、選手5人がアタック、力士3人がディフェンス側となりモールを組んだ。5人が渾身の力で押すが、力士3人はびくともしない。
 PR西和磨は「ぜんぜん動かせませんでした。力をぜんぶ上にもっていかれる感じ」と驚きの表情。「力士の皆さんがあまり疲れていないことにも驚きました。体の使い方がこれまでラグビーで教わってきたものとは全然違う。すべてをそのまま活用できないとは思いますが、うまくフィットさせていけば、もっとパワーアップできるんじゃないかなと思いました」。

 十両・宮乃風は、「これは、相手の力を受け止めて体勢を維持する『残す』という技術です。僕自身も『残す』ことがまだ完璧にできなくて課題なのですが、ラグビー選手にとっても大きな武器になるかもしれません」と相撲特有の力の使い方について解き明かした。

 FW陣の「スクラムの先生」であり、誰よりも積極的に力士たちに質問をしていたPRパディー・ライアンは、これまで大相撲を3回観戦したことがあるという。初めて力士と組み合ってみて、「とても楽しかったし、すごく興味深かったです」と笑顔で振り返った。一番の学びは、力士たちの足の裏の使い方だ。「スクラムやモールを組んで、そのなかで彼らが足を使ってどう力を生み出しているのか、実際に見て学ぶことができました。まずはこの感覚を練習で試し、フィードバックを重ねて、セットプレーに生かしていきたいですね」と、FWの底力を高められるヒントを得たことを喜んでいた。

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