ラグビーリパブリック

敗戦の中で輝くスティール。岡部義大[日体大/FL]

2025.10.13

今季からポジションをNO8からFLに移した。ブレイブルーパス府中ジュニアラグビークラブ出身(撮影:BBM)

 大敗の中で輝いた。

 日体大の岡部義大(おかべ・よしひろ)だ。

 関東大学対抗戦Aでの2シーズン目を過ごすクラブにあって、1年時から主力を担う。2年前の昇格に貢献した。

 3年生となった9月27日の対抗戦第2節では、大学選手権4連覇中の帝京大を相手にスティールを2発披露。後半24分には細かくステップを刻んで中央突破、7-113で敗れたこの試合で唯一のトライを挙げた。

 個人のパフォーマンスでは爪痕を残すも、岡部の表情は浮かない。
「結果が伴わないと、どんなに良いプレーがあっても喜べません」

 加えて反省も述べる。
「(格上相手には)どうしてもディフェンスの時間が長くなるので、タックルで刺さり続けることを目標にしていたのですが、相手の2枚目、3枚目の寄りが早かったです。どうしても返せず、食い込まれるシーンが多くなってしまいました。一発で返せるようなインパクトをつけたいです」

 トライシーンを振り返っても、謙虚な姿勢を崩さなかった。
「自分は体が小さい(179センチ、95キロ)ので、真っ向勝負ではなかなか勝てません。ショートステップで相手をズラすことは普段から意識しています。あの場面はたまたまコースが空いていました」

 秋廣秀一監督は「基礎体力はFWの中で一番」と明かし、こうも評した。
「負けたくない気持ちがプレーにも表れています。ラグビーは前進よりも戻ることの方が多いと思いますが、抜かれても愚直に、スピードを持って戻ってくれます」

 強みであるディフェンスは、國學院栃木で培う。”紺の壁”を体現すべく、「練習の8割がディフェンスでした」。

「高校のときからハードワークが一番の目標と言いますか。自分は華やかなプレーはできないけど、ひたむきにタックルに入り続けて、また起きて次のプレーに向かうことは努力し続けていることです」

 2年時の花園ではチームの準優勝に貢献した。2回戦(初戦)こそリザーブに回るも、3回戦以降は脳震盪で欠場を余儀なくされたキャプテン、白石和輝(現・立教大主将)に代わって背番号4をつけた。

「白石さんにはとてもお世話になりました。練習に向かう姿勢、タックル、ジャッカル含めて目標とする先輩です。自分も来年はチームを引っ張っていかないといけない立場になる。白石さんに追いつきたいです」

 すでにチームメイトからの信頼は厚い。関東春季交流大会では3試合でゲームキャプテンを託され、帝京大戦でゲーム主将を務めたLO逢坂侑大をして「かけがいのない存在」と言わしめる。

「3年生ですがチームのことを思って、言うべきことはしっかり発言してくれます。プレーでもチームを勇気づけてくれます」

 日体大への進学は、将来の夢を追うためだった。「体育教師になりたいと思っていました」。小学生時に将来の職業について考える機会があり、パソコンと向き合う姿を想像できなかった。

「人と関わることが好きですし、体育も好きです。教員としてラグビーも教えられたらベストだなと」

 ただ、卒業後は一般企業に入社して、ラグビーを続けたい。リーグワン入りを目指す。
「社会人として揉まれながら、社会のルールや常識を学んでから教員になりたいと思っています」

 10月11日の明大戦は後半8分まで5点差と奮闘するも、12-43で敗れた。
 目下の目標は対抗戦での初勝利だ。

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