10月25日のオーストラリア戦(@国立競技場、14時50分キックオフ)を皮切りに、南アフリカ、アイルランド、ウエールズ、ジョージアという世界ランキング上位の競合との5連戦に挑む今秋の日本代表。その活動が、10月6日の宮崎・大分合宿からいよいよスタートする。ここでは新たにスコッドに選出された注目のニューフェイス3人を紹介する。
LOハリー・ホッキングス
[208センチ、124キロ/27歳/東京サントリーサンゴリアス]
長く日本代表入りを待望されてきたビッグマン。208センチは日本代表史上最長身だ。
オーストラリアのクインズランド州出身。17歳でU20オーストラリア代表入りするなどユース時代から潜在力を高く評価され、19歳でスーパーラグビーデビューを果たしたが、コロナ禍で先行きが見えなくなったこともあって日本でプレーすることを選択する。
当初は2シーズンほどで帰国するつもりだったが、東京サントリーサンゴリアスの環境に惚れ込み、そのまま残ることを決断。在籍5シーズンを終え代表資格を満たした今秋、満を持して日本代表に選出された。
プレーの特長は空中戦の強さもさることながら、意欲的にフィールドを動き回り、ボールに絡む局面でハードに体を張れることだ。この長身にして低くプレーすることもでき、2022-23シーズンのリーグワンではベストタックラーに輝いている。
エディー・ジョーンズHCいわく、「ワーナー(・ディアンズ)に似たタイプのLO」。ふたりが第2列で並べば日本代表が待ち望んできたツインタワー結成となる。それによってジャック・コーネルセンがバックローに下がれば、今シリーズで対戦する強豪国にとっても脅威のFWパックとなるだろう。
LO/FLタイラー・ポール
[195センチ、111キロ/30歳/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ]
南アフリカ出身のFWらしい頑健にして勤勉なハードマン。イースタン・プロビンスのユースチームで頭角を表し、2014年に19歳でシニアデビュー。U20南アフリカ代表のトレーニングメンバーにも名を連ねた。
2017年にキングスでスーパーラグビー初出場を果たし、2018シーズンからはシャークスでプレーしたが、出場機会とさらなる成長を求めて2020年に25歳で来日。NTTドコモレッドハリケーンズ(現レッドハリケーンズ大阪)でメキメキと力を伸ばし、2022シーズンから2季は浦安D-Rocksで印象に残る活躍を見せた。
そしてクボタスピアーズ船橋・東京ベイに移籍した2024-25シーズンは15試合、830分出場。持ち前の激しいコンタクトを生かし、チーム2年ぶりのファイナル進出に貢献する。そのパフォーマンスを評価され、エリジビリティをクリアしたこの秋、日本代表の一員となった。
ストロングポイントはなんといってもコリジョンの局面でのタフさだ。密集戦での仕事量も多く、パワフルにドライブし続けてチームに勢いを生み出す。昨季リーグワンでは総タックル数184で93パーセントの成功率を残すなど、ディフェンスでの貢献度も高い。
ジョーンズHCは「学ぶ姿勢があり、ジャパンに合った選手だと思う」とラグビーに取り組む姿勢も高く評価している。日本代表にさらなる新風を吹き込む存在となりそうだ。
SO小村 真也
[180センチ、92キロ/23歳/トヨタヴェルブリッツ]
パス、キック、ランいずれも高いレベルのスキルセットを有し、優れた状況判断と多彩なアイデアでゲームを組み立てるプレーメイカー。帝京大からアーリーエントリーでトヨタヴェルブリッツ入りしたリーグワン2024-25では、3月1日の第10節で早々にデビューを果たし、2か月あまりの間で9試合、523分に出場した。
フットボーラーとして総合力が高いことに加え、最大の持ち味はタックルを受けることを厭わず相手ディフェンスに接近したところでプレーできる点だ。そのぶんゲインラインに近い位置でアタックを仕掛けることができるし、相手防御の出足を止めて外のプレーヤーを生かすこともできる。帝京大時代はバックスリーでプレーすることが多かったが、強みがもっとも生きるのはやはり10番だろう。
祖父は伏見工を全国区の強豪に育て上げた名将、山口良治氏。3歳の時に大阪工大RSでラグビーを始め、中学時代は大阪府中学校代表のキャプテンとして全国ジュニア大会で優勝を遂げた。高校はNZの名門、ハミルトンボーイズへ進学。ラグビー王国のおおらかな環境で恵まれた才能と語学力を磨き、帝京大では1年時から出場機会をつかんで大学選手権4連覇の原動力となった。
ケガが重なったこともありここまで日本代表には縁がなかったが、今秋ついにスコッドに名を連ねた。ポテンシャルは文句なしで度胸のよさも国際舞台向き。英語でコミュニケーションがとれることも貴重な武器になる。2歳上の李承信とのポジション争いが楽しみだ。