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【リポビタンDチャレンジカップ2025】日本代表メンバー発表会見 エディー・ジョーンズHC質疑応答全文掲載①

2025.10.02

10月2日のメンバー発表記者会見に臨んだエディー・ジョーンズHC



 10月25日の国立競技場でのオーストラリア戦を皮切りに、ヨーロッパでの南アフリカ、アイルランド、ウエールズ、ジョージアとの連戦に挑む秋の日本代表のトレーニングスコッドが、10月2日に発表された。今回はFL/NO8リーチ マイケルが復帰したことに加えLOハリー・ホッキングスなど楽しみな新戦力も選出され、パシフィックネーションズカップ(PNC)決勝でフィジーに肉薄したチームからさらに総合力が高まった印象だ。そんなチームが10月6日から始まる合宿を経て、世界トップクラスの強豪にどのように挑んでいくのか。ここでは記者会見でのエディー・ジョーンズHCの言葉を紹介する。

(冒頭コメント)
 今回のヨーロッパ遠征は、日本代表として本当にワクワクするツアーになります。選手たちにとって、オーストラリア、南アフリカ、アイルランド、ウエールズ、ジョージと対戦できることはすばらしい経験になるでしょう。宮崎合宿でチームづくりを進めることが楽しみです。

 メンバーに関しては、PNCツアーと同じようなメンバーをそろえていこうと考えました。その中で、ケガ人も出ましたし、新しい選手が入ったポジションもあります。これまで薄かったLOの選手層を厚くしたいということで、新しい追加メンバーが入っています。

 今回はまずFWとBKそれぞれでユニット合宿をおこない、ユニットでしっかり基礎固めをしてから、ツアーに向けて宮崎でチーム作りを進めていきたいと思います。今回のツアーでは、すべての局面で戦いにいき、すべての局面で対抗し、本当に勝てるところまで、極限のところまで持っていきたいと思っています。それが我々のチャレンジです。

 PNCでの選手たちの活躍には感心しています。昨年に比べ年齢も経験値も若返ったにも関わらず、非常にいいパフォーマンスをしてくれました。アタックはよくバランスがとれていたし、バリエーションも増え、ジャパンが目指すアタックに合っていると思います。

 ディフェンスはまだまだ改善の余地がありますが、発展しているという手応えは感じています。決勝のフィジー戦は攻守の切り替えの場面で多く失点してしまったので、継続して改善に取り組んでいきます。

 今秋の5週間、強豪を相手に戦えることは、日本ラグビーにとってエキサイティングな期間になると思います。先日、現地を視察してきましたが、ホテルも練習グラウンドもすべてにおいてファーストクラスの環境が整っている。非常に楽しみです。

(以下質疑応答)
――12月3日にW杯のプール組分け抽選があり、世界ランキング12位以内に入ることが重要だが、そのことはどうとらえているか。

「世界ランキングはあくまでランキングでしかありません。我々の目的はいいプレーをすることです。今はオーストラリア戦しか意識していません。

 オーストラリアは近年非常にチーム力が上がっていて、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、南アフリカ、NZ相手にもいいラグビーをしていました。まず大事になるのは、ゲインラインでどれだけ対抗することができるか。オーストラリアはワンパスで継続するゲームをしてくるので、ゲインラインで相手の勢いを止める、そしてボールを取り返した時にスペースにボールを運んで、相手のディフェンスを苦しめることが大事になります。

 国立競技場が会場で、チケットも売れていると聞いています。5万人のファンの方たちが盛り上がって、いい雰囲気で戦えることを楽しみにしています。

 もうひとつ、今回は世界のラグビー界から日本がリスペクトを得るすばらしいチャンスだと思っています。どういうことかというと、PNCの決勝ではフィジーが本来一人少ない状態で戦わなければならなかったのに、そうならない状態で6分間プレーがおこなわれました。これがもし他国の試合で起こっていたら、物議を醸していたでしょう。しかし日本は、結果的に敗戦を喫したにも関わらず、誰もクレームを出さず、問題にされませんでした。

 お国柄もあると思いますが、だからこそ日本は、次のツアーで強豪に対して強い姿勢で臨む必要があります。それによって、世界からリスペクトを得られるチャンスがあると思っています」

――スコッドの中で期待している選手は。

「全員が大事な選手です。メンバー全員が極限まで練習を積み重ねて、極限までベストな状態に持っていくことが大事です。その中で、準備ができている選手で試合に臨みます。

 最近のラグビーを見ていると、同じメンバーでテストマッチを連戦することはなかなかない。ケガの影響で、少なくとも5人くらいは変更があります。強度が上がっており、ケガがつきものになっているからこそ、力強いスコッドがそろっていることが大事です。ケガがあった時、すぐ次の人が役割を担えるスコッド力が、非常に大事になります。

 PNCを振り返ると、CTB池田悠希が水曜日に合流し、フィジー戦ですぐに試合に出てしっかりと仕事をしてくれました。1番でも紙森陽太、木村星南、岡部崇人がケガをしていますが、小林賢太がテスト経験がまったくなかったにも関わらず、ファイナルでもしっかりパフォーマンスしてくれました。そのようにスコッド力が大事ですし、全選手が重要な選手です」

――5連戦の各ゲームでどんな目標設定をしているか。

「この試合でこうというのではなく、すべての局面で戦いにいきます。ボールに対しても、スペースに対しても競いにいく。そこを攻めていくことで、必然的に結果もついてくると思っています。近年のラグビーではボールインプレーが35分といわれていますが、すべての時間、1分1秒で競りにいくことが、この5試合で大事なことです」

――W杯までの強化のカレンダーにおいて、現在のジャパンはどの位置にいると感じているか。

「W杯まで2年あり、それまでに30試合ほどテストマッチがあります。完全体をどこで目指すかといえばもちろんW杯の1戦目で、それが全体のプロジェクトの流れです。

 今は波乗りをしているような感じで、波に乗っているところは加速していきますが、波に乗れていない部分は進捗が遅れがちになるような状況です。でも、PNCではまちがいなく成長を感じました。チームが右肩上がりに成長することはありません。ただ、いい方向に向かっているという感触はあります。

 PNCではLOワーナー・ディアンズのキャプテンシーに脱帽しました。落ち着いており、次のプレーをしっかり考えられて、かつそれに基づいて周囲の選手をまとめられるキャプテンでした。決勝では50点差まで引き離されてもおかしくない展開でしたが、ワーナーのリーダーシップによって選手たちが挫けず戦い続けることができた。

 ポジティブな兆しが見られているし、成長を感じています。ただ、ここで完成度を数字で示すことは、ミスリードになってしまうと思います」

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