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ハーレクインズでの学びを生かす。北原璃久&岡野喬吾[三重ホンダヒート]

2025.09.27

左から岡野、北原©三重ホンダヒート

 三重ホンダヒートでは恒例となった、ハーレクインズへのラグビー留学。
 
 イングランド・プレミアシップの強豪として知られるハーレクインズと、ヒートが戦略的パートナーシップを結んだのは2023年だ。

 その年にはSHの根塚聖冴、SOの呉洸太を派遣し、昨年はFW全員でキャンプを張った。PRの平野叶翔と星野克之、HOの肥田晃季はその合宿後も残ってトレーニングに参加した。

 3年目となった今年は、SOの北原璃久とCTBの岡野喬吾が、ラグビーの母国へと渡っている。
 9月3日から30日までの28日間だ。

 はじめの2週はホテルで生活し、以降はそれぞれ別のホームステイ先でお世話になっている。
 練習グラウンドまでの移動はレンタカーだ。

 日本と同じ左側車線だが、岡野は「(日本では稀な)ラウンドアバウト(環状交差点)が多くてはじめは戸惑いました」と苦戦した様子。

「そこに入った瞬間から無言で、運転に集中して…(笑)。いまはだいぶ慣れてきました」

 岡野は他にも「ブロッコリーの茎がめちゃくちゃ長かった」などと驚く中、北原は至って冷静だ。
 北原は國學院久我山を卒業後、ニュージーランドのオタゴ大に進学していた。

「ニュージーランドと街の雰囲気も似ているし、天気もスーパーにあるものもあまり変わりません」

 ただオフには、かつてトヨタヴェルブリッツに在籍していたLOのジョー・ローンチブリーに勧められたオックスフォードまで足を運び、イギリス生活を満喫できている。

 グラウンドでは、ハーレクインズが強豪チームである所以を肌で感じた。
 二人は「みんなが同じ方向を向いてやっていると感じる」と口を揃える。

「選手同士のミーティングでも批判し合える関係性を作れているし、時には選手がコーチやGMにもフラットに意見を言っている。お互いに信頼していると感じましたし、プレミアシップ優勝に向けてどうしないといけないかを、みんなが考えて建設的な意見を出し合っているなと思いました」(北原)

 取材日はチームがプレミアシップ開幕を2週前に控えていた。
「だんだんと雰囲気がピリッとしてきた中ですが、試合形式の練習にもしっかり入らせてもらえています」と岡野は伝える。

「アタックもディフェンスもセットスピードが速い。いまはそのスピード感にも慣れてきて、セットを速くすることで少し余裕が生まれると感じます」

 ハーレクインズは、プレミアシップの中ではサイズで劣るそう。アタックの発想は日本にも通ずることが多いようだ。

「走って動いてオプションを増やすチームです。アタックでは単純なダブルラインではなく、特にWTB、FBがかなりハードワークしていて、オプションのひとつになっていました」(北川)

 北川は、ニック・エヴァンズBKコーチからの指導が特に身になっている。元オールブラックスの司令塔だ。

「クイーンズのアタックの考え方をホンダでそのまま生かすことはできませんが、シチュエーションごとに10番としてどう判断するかの引き出しをたくさんインストールできています」

 休養中のマーカス・スミスにはまだ会えていないが、ウエールズ代表SOのジャレット・エヴァンズからも盗めるスキルはありそうだ。

「なぜか彼がキャッチしたときに、トイメンの自分は彼を見ないといけなくなるんです。他の10番であれば大抵はパスをするから気軽に流せるけど、彼の相手をすると一回足が止まってしまう。でもスピードがあるタイプでもない。何か意識していることがあると思うので今度聞きにいこうと思います」

「ディフェンスを強みにしていきたい」という岡野は、この時点ではレクチャーを受けていないディフェンスコーチから多くの学びを得たいという。

 同じCTBで今夏にイングランド代表デビューを果たした、オスカー・ベアードからも刺激を受ける。

「まず表で抜かれることはないですし、相手が表で来ないと分かった瞬間に、裏にプレッシャーをかける。その判断を間違えないし、切り替えがすごく速くて、プレッシャーのかけ方も上手い」

 岡野は実質加入1年目だった昨季に14試合に出場、12試合に先発した。
 シーズン終了後の6月には、JAPAN XVの菅平合宿にも呼ばれた。

 さらなる飛躍を目指す今季は、よりコンタクトシーンでの激しさを増したい。
「ディフェンスではタックルのインパクトをもっと出していきたいし、アタックではボールをもらうときのスピードをさらに上げていきたいと思っています」

 一方の北原は、昨季の途中にAZ-COM丸和MOMOTARO’Sから加入。本格的なポジション争いに挑む最初のシーズンだ。

 SOは呉洸太、マヌ・ヴニポラ、中尾隼大が昨季時点で激しい争いを繰り広げていた。

「そこに何の実績もない新人が入っていくのはすごくチャレンジです。でも、ヘッドコーチは経験値よりも良いパフォーマンスができているかどうかの方が大事と言ってくれています。3人のことはもちろんリスペクトしていますが、自信を持って、負けずに自分を出していきたいです」

 ニュージーランド仕込みのランプレーで、ゲインラインに向かって果敢に仕掛けるのが得意だ。
 そこで違いを示し、10番を獲りたい。

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