助け合う。
竹内柊平は、ラグビー日本代表の一員としてパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に参戦中だ。
この大会から主将となった23歳のワーナー・ディアンズら、若いリーダーに「学びをもらっている」。一方で…。
「彼らが持っていないものを僕が持っているという自負もあります。お互い、チーム作りを楽しんでいるところです」
全国大会の経験が少ない九州共立大から一線級に躍り出た27歳が、改めて「僕が持っている」という素養に触れる。
「それこそいまの若いリーダーには、エリートの大学に行って主将になるような選手がたくさんいる。逆に、強い相手と出会ったことが(少)ないのかなと。自分たちより身体が大きくパワーもポテンシャルもある相手との戦い方とか、ハードな練習の乗り越え方とか、何というか、『忍耐的』なところ(に自身の強みがある)。若い選手って――僕もベテランじゃないですけど――1回、気持ちが他の方向へ行ったら『ガーン』となる(落ち込む)ので、それに対して偉そうに上から言うんじゃなく、雑談ベースで話す…という感じでいますかね」
身長183センチ、体重115キロ。スクラム最前列の右PRにして推進力がある。
エディー・ジョーンズヘッドコーチには、かねて発破をかけられている。
「PNCでベストな3番(右PR)になるチャンスだ」
渡米中の現地時間9月14日、トンガ代表との準決勝ではビッグゲインが光った。
前半10分頃、後半14分頃には、中盤から敵陣深くまでのランを披露し、いずれもチームのトライに繋げた。
最前列で組むスクラムも安定させ、62―24で快勝した。
相手の同じポジションを務めるベン・タメイフナが破壊力満点だった中、白星を得た側の3番がプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。
「エディーさんが掲げた目標に対し、少しずつプロセスを踏んで、積み上げている状態です。前回のトンガ代表戦では世界で3本の指に入るタメイフナと試合ができ、そこでも個人で『やれる』という体感がありました。PNCでは、自分のどこが強みなのか、このチームにどう貢献できるかがより明確にわかってきた。いま、すごく、楽しいです。たまたまいいキャリー(突進)ができたりしていますが、スクラムで(明確な)反則を取られていないことも自信になっています」
引き続きアメリカに滞在し、同20日には決勝に臨む。
相手はフィジー代表。世界ランクで4つ上回る9位の通称「フライング・フィジアンズ」には、前年度のファイナルで17―41と敗れている。
向こうの特徴について「去年はピック&ゴーで真ん中に(防御を)集めて外で勝負。今年は(果敢に左右に)散らす組み立て。戦術が変わっている。どっちも嫌ですけど」と警戒しながら、リベンジ成功へ前向きである。チームの結束を感じるからだ。
現体制ができたばかりの前年度と比べ、「チームがめちゃくちゃ仲良くなっている」。8月中旬にFWだけでキャンプを行ったことを踏まえ、こう語る。
「FW合宿でのテーマは絆でした。いまは、周りが見てもFWのラインアウト、スクラム、ゼネラルのプレーにコネクションを感じると思います。そこへBKも巻き込み、いい形ができ上がっている。僕は声を出すことしかできないですけど、誰かがいいプレーしたら喜ぶし、励ますし、悪いプレーがあっても『次!』と促す」
ナンバーワンになるまであと1勝。