ラグビーリパブリック

「この低さでも、全然、戦えている」。江良颯が日本代表で感じた収穫と課題。

2025.09.03

カナダ戦で2キャップ目を獲得した江良颯(撮影:イワモトアキト)

 初めてラグビー日本代表としてスタメン出場を果たした。

 8月30日、宮城・ユアテックスタジアム仙台。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属で今年初代表の江良颯は、カナダ代表とのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)初戦で65分間プレーした。

 戦前の世界ランクで11位下回る24位のカナダ代表を57-15で下したが、チームは序盤戦における規律を反省した。週明けに述懐する。

「キャンプが始まってから、相手にプレッシャーをかけるために『最初の3歩』を大切にしてきました。その(鋭い出足)意識が強過ぎたあまり、オフサイド(所定の位置より前でプレーする反則)に繋がった部分がある。今週はワールドクラスのレフリーの『オフサイドの立ち位置』を頭に入れました。僕たちは(所定の位置より)半歩下がることを心がけていますが、それをどれだけクリーンに見せるかも大切になってくる」

 個人的に悔いが残ったのはラインアウトの投入だ。1本目で失敗したことで「先のことを色々と考えるよう」になり、総じていつも通りの投げ方ができなくなったと冷静に振り返る。

「映像を見たら、いつもと違う投げ方をしてしまっていた。どのようなメンタルでも、常にいままでやってきたルーティーンを崩さず、落ち着いてやりたいです」

 ラインアウトを担当する伊藤鐘史アシスタントコーチからも、原点に立ち返るフィードバックをもらった。

「ひとつひとつのプレーに、集中していこう」

 手応えも感じている。身長172センチ、体重106キロのサイズにあって、国際舞台でのぶつかり合いで引けを取らずにいられた。国内で発揮していたコンタクト力を、国外でも通用させている。

「ディフェンス面ではドミネートできていることも多々ある。この(背丈の)低さでも、全然、戦えている。(今後は)アタックで勢いを生み、流れを変えられる選手にならなきゃ…という感覚があります」

 23歳。激しい争いの只中にある。

 先頭中央のHOでは、原田衛は現在スコッド外ながら共同主将を任される。大会後は海外挑戦と、一定の世界的評価を得ている。さらに佐藤健次は、江良の1学年下の筆頭格。早大前主将で、現在は埼玉パナソニックワイルドナイツで元代表主将の坂手淳史に迫る。

 江良は原田の一貫性、佐藤の攻撃センスに感銘を受けながら、得意のスクラムワークでアピールしたいという。

「自分ひとりだけでは勝てるわけではないですが、相手にとって嫌なスクラム(を意識する)。8人(味方FW)をどれだけまとめられるか、80分間を通して高いスタンダードで組めるかどうかも大事になります」

  この領域を教えるのは、アシスタントコーチのオーウェン・フランクス。ニュージーランド代表のPRだったフランクスから発破をかけられながら、カナダ代表を制圧できたスクラムにさらに磨きをかける。

「オーウェンにも『あと40パーセントは成長できる』と。練習では、いいスクラムを組めている。でも(試合の)映像を見たら、自分たちのいつものテンション(張り)、膝の高さや角度でできていない選手が、何人かいました。フロントロー(最前列)でも、方向性(進行方向)が違っていたところもあった。よりディテールにこだわっていければ」

 現在は渡米中。時差対策を施し、現地時間9月6日のPNC第2戦を見据える。

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