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サクラフィフティーンの古田真菜、ワールドカップ初戦で「精度」にこだわる。

2025.08.19

7月26日、W杯前最後の国内テストマッチ、スペイン戦に出場した古田真菜(撮影:福島宏治)

 お手本のようなプレーができる。師匠のお手本には天を仰いでいる。
 
 女子15人制ラグビー日本代表の古田真菜は、パスが冴える。スペースへボールを繰り出す際、目の前の走者へ向かって真っすぐ走る。

 守る側にとっては、球が手から離れるまでは古田のランを警戒しなくてはならない。おかげでパスの効力が増す。

 タフな身体接触もあるCTBの位置にあって、技で光るのだ。

 その点について本人は、「え、ほんとですか?もうちょっとできることがあったので、そこは改善しないといけないなと思って」と謙遜する。放った後のコース取りを修正し、より防御が受け手に迫りづらくさせたいようだ。

 ここで話題に挙げたのは、代表チームのバックスコーチの存在だ。

「バンジー」ことベリック・バーンズには、仕掛ける際の立ち位置いかんで相手の動きがよく見えると助言してくれるようだ。そのおかげで、自身のスキルがよりよくなっていると古田は言う。

 バーンズは現役時代、男子のオーストラリア代表として51キャップ(代表戦出場数)を取得。2013年度からは現リーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツへ在籍してトップリーグ3連覇、2季連続でのMVP受賞と確かな実績を誇る。

 来季からはワイルドナイツの指導陣にも入る元万能SOは、お手本のようなプレーをする選手にとってのよきお手本なのだと古田は語る。

「本当にいつも明るく、褒めてくれる。それと、『こうやってやればいいんだよ』とやってくれるお手本が上手すぎて…。いつも驚きます」

 かねて基本技術に定評がある。身長167センチ、体重70キロのサイズは国際級にあって大柄ではないが、‘22年1月にはオーストラリアのブランビーズスーパーダブリューへ期限付きで移籍。世界で揉まれている。
 
 以前から、目指す選手像にはコンラッド・スミスを掲げる。

 自身と似たタイプにして、ラグビー王国のトップと言われる男子ニュージーランド代表で94キャップを獲得したレジェンドOBである。

 最近ではスミスのほか、アイルランド代表で118キャップのSO、ジョナサン・セクストンも好きだ。判断と技術の妙で勝利を手繰り寄せるさまに惹かれた。

「ワールドカップの時、インスタのDMで『応援してます』と送るくらいには憧れていました。見られたことはないんですけど」

 自身もワールドカップに出る。現地時間8月24日、イングランドでの本番の初戦でアイルランド代表とぶつかる。

 強調するのは、自分たちの技術の「精度」の大切さである。

「アイルランド代表はスキルが高い印象。キックも得意ですし。精度をひとつひとつ上げていって、(点を)取れるところで取らないと試合が難しくなる。この精度の部分は、チームとしても、個人としてもしっかり上げていきたいなと思っています」
 
 大会出場は2度目となる27歳はいま、アイルランド代表を憧れではなく倒すべきライバルと捉える。

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