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日本代表・佐藤健次、もっと活躍するために「自分の身体と、向き合う」。

2025.08.14

6月28日、JAPAN XVとしてマオリ・オールブラックス戦に出場した佐藤健次(撮影:イワモトアキト)

 学生時代と「感覚的に違うところがある」。佐藤健次がこう述べたのは今年6月。前年度と同時期に続き、ラグビー日本代表に入ったタイミングだ。

 初選出された昨年は、早大の主将を務めていた。一方、7月まで続いた件のキャンペーンには、埼玉パナソニックワイルドナイツのプロ選手として招かれている。

 宮崎合宿への参加中、こう述べた。

「大学生の時は主将だったのもあり、(代表の活動期間中も)早大のビデオのレビューに時間を使うこともありました。でもいまは、本当の意味で100パーセント(ナショナルチームに)注力できているかなと」

 船頭役としての責任感とは距離を置きながらも、競争社会の只中にいるのは変わらない。

 身長177センチ、体重108キロの22歳は、大学2年時からスクラム最前列のHOを務める。元NO8とあり機動力、ランニングスキルに長ける。

 自身と同じ桐蔭学園高出身で3学年上の原田衛、大学シーンでしのぎを削った1歳年上の江良颯と定位置を争う。

「(ライバルの間で)僕が一番若いですし、HO歴も圧倒的に短い。2人のいいところを見て、感じて、成長できればいいかなと。アタックができるところを伸ばしつつ、ディフェンスでもチームで目につくようになれば、メンバー選考に絡んでいけるかなと」

 海の外へも視線を広げる。もともと好きな選手の多いことからニュージーランドに興味があり、南半球最高峰のスーパーラグビーへチャレンジできればと願う。所属する埼玉パナソニックワイルドナイツのバックアップを受け、英会話の勉強を本格化させる。

「そこ(語学)に自信を持てたら、海外に挑戦したいなと」
 
 ナショナルチームの一員としても、中長期的な視座を持つ。

 件のキャンペーンのターゲットとなった、対ウェールズ代表2連戦では出番なしに終わった。しかし8月12日、15日からのキャンプのメンバーに名を連ねた。同月30日から国内外でおこなわれるパシフィック・ネーションズカップで悲願のテストマッチデビューを目指す。

 その延長線上で、4年に1度のワールドカップで活躍できる存在となるつもりだ。

 直近では2027年のオーストラリア大会があるなか、「今年のことも重視していますが、やっぱりワールドカップを視野に入れたい。子どもたちに憧れられる選手になりたいです」と話す。

「(そのためには)自分の身体と、向き合うことですかね。自分の身体を、自分が思った通りに動かせるように。僕がいままでできなかったことです。それまでは感覚でやってしまっていたので」

 世界に出る第一歩として、己を深く知る。

 宮崎合宿中にあった日々のトレーニング前は、比較的グラウンドへ早めに出て、入念に身体をほぐしていた。

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