ラグビーリパブリック

フランスから合流の齋藤直人。「日本代表として活動することは特別」

2025.07.03

合宿地で取材に応える齋藤直人©︎JRFU

 齋藤直人が7月2日、前日に合流したラグビー日本代表の一員としてオンライン取材に応じた。

 まず問われたのは、6月下旬まで続いた新たなチャレンジへの所感である。

 フランスのトゥールーズに移籍1年目にあって、同国トップ14での3連覇に喜んでいた。かねて現地に根付く即興性、キックの多さに刺激されてきた27歳は、自身の経験がナショナルチームにどう活きそうかについて答えた。

「形にとらわれずに自分たちでプレー中に判断し、誰かが判断したことに周りがどんどんリアクションするというラグビーをやってきた。もしチームからそういった部分を求められれば、リードできると思います」

 エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ率いる現体制は、『超速ラグビー』と唱える。攻守に迅速さを求める。

 前年度までは攻撃時のボール保持とその原則を導入し、現在は勢いをつけてスペースに蹴り込む仕組みを付け加える。パスの供給源となるSHは、難しいジャッジメントが請われる。

 高速展開の得意な身長165センチ、体重73キロは言う。

「どのチームでもそうかもしれないですけど、(日本代表のSHに必要なのは)キックとアタックのバランス。自分たちに勢いがあればいい判断と速い球出しで攻めて、勢いがないなら効果的にキックを使ってFWやチームを前に出す。その判断では、9、10番(SOを含む司令塔団)が中心になる」

 チームは7月5、12日、対ウェールズ代表2連戦に臨む。3日に発表された初戦のメンバーには名前がなく、働き場のSHの位置には先発、リザーブでそれぞれ藤原忍、北村瞬太郎が入った。ジョーンズは説く。

「齋藤は所属先と『1戦目は出場しない』ということで合意している。次の試合には出場可能です」

 当の齋藤は、「コンディションはいいです。大きな怪我もなく過ごせたので」。フランスから帰国後は、自宅へ戻らずキャンプ地の宮崎入り。チームへコミットし、少しでも早く戦力になりたい旨を明かした。

「コーチからは僕が学ばなければいけないコールなどをファイルでもらっていたので、(飛行機での)移動中もちょっとは予習を。(宮崎に)着いてからも映像を見ながらチームメイトやコーチと話してきました。…まぁ、もう少しやらなければならないと思いますけど」

 ジャパンに合流したのは昨秋以来だ。3日時点で残るスコッド38名のうち20名がノンキャップと新鮮な隊列にあって、ワールドカップ出場もある海外戦士の存在感は大きい。外的要因とは距離を置き、自分たちと向き合う。

「まず、昨年以上に若い選手が増えた印象で、最初はものすごく緊張しました。雰囲気は変わらず——といっても、僕は昨日と今日しかいないんですけど——練習も、ハードにやっています。いい雰囲気だと思います。この2連戦に限らず、日本代表として活動すること、試合に出ることは特別なことだと思っている。世間では『お互いにランキングが近い(相手が1つ上の12位)。最近、勝てていない』と言われていますけど、『それだから頑張る』というより、(ジャパンにいる以上は)自分のやれる限りのことをやりたいですし、勝ちたいです」

 12日の2戦目で躍動が待たれる。

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