2025年の日本代表が始動する宮崎合宿の参加メンバーが発表された6月12日、今年のチームコンセプト「超速 AS ONE」が発表された。この言葉を旗印に、日本代表チームは何を目指すのか。昨年掲げた「超速ラグビー」との違いや変化もふまえ、エディー・ジョーンズHCの口からコンセプトの意義が語られた。
日本のラグビーおよび社会・文化の独自性をふまえ考案されたという「超速 AS ONE」のコンセプト。昨年の第2期HC就任以来、エディーHCが掲げる「超速」というキーワードに、ジャパンファーストを意味する「AS ONE」というエッセンスが加わった。示された骨子は以下のとおり。
■超速
・Physical(身体):パス、ラン、キックの速さ
・Thinking(思考):考える速さ
・Collaboration(共同):連携・団結の速さ
■AS ONE
・Value(価値):共通の価値観
・Goal(目標):明確な目標
・Action(行動):具体的なアクション
改善が求められる超速の要素については、「アタックで、チャンスがあったところでは絶対に仕留める」パフォーマンスを目指すとした。加えてオフ・ザ・ボールのワークレートを課題に挙げ、強豪国と比較して日本の数値は「33%減」である現状に対し、選手の理解度とキャパシティを向上させるという。
AS ONEという言葉には「世界トップ4」という目標に向け「日本代表が一番大事な存在であり、より強固なものにする」という価値観を浸透させる意思が込められる。そのための具体的な行動は、選手・スタッフだけでなく「日本のラグビーに関わる全ての人たち」にも求められるという。
例えば地元のラグビーチームでサポートをするようなアクションを「一歩前にでて、やるべきこと、やれるべきことをやる」。こうした「一人ひとりの積み重ねがジャパンを強くする」とエディーHCは語った。
ラグビーファミリーを構成する一人ひとりの行動がラグビーのプレゼンスを高め、ナショナルチームの強化につながるというサイクルが形成できれば、スポーツの理想的な発展といえる。
一方で、日本代表がファミリー以外からも広く憧れられる存在になるためには「勝利」という結果が欠かせない。本日発表されたコーチングスタッフには昨年ディフェンス担当アシスタントコーチを務めたデイビット・キッドウェル氏の名がなく、この役割の担当者は現時点で決まっていない。昨年低調であった守備のパフォーマンスの改善に不安は残るが、今夏のテストマッチに向けたエフォートには期待をかけたい。