今シーズンの成否が決まる金曜夜の大一番。3,306人のファンが詰めかけた三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿の夜空に、ホストチームの歓喜の雄叫びが響いた。
ディビジョン1を11位で終えた三重ホンダヒートと、ディビジョン2を2位で通過した花園近鉄ライナーズの入替戦第2戦は、地元サポーターの大声援を背に受けたヒートが後半3トライを奪取。29-19で第1戦(29-25)に続いてライナーズの挑戦を退け、D1残留を決めた。
午後7時のキックオフ。先にペースを握ったのは、5点差以上の勝利が必要なライナーズだった。立ち上がりから相手陣で優勢にゲームを進めると、SHウィル・ゲニアがラックサイドを判断よく突破。開始9分で先制トライを挙げる。
しかしその後はチャンスを作りながらも不用意なエラーや反則が続き、追加点を奪えない。すると試合の流れは、徐々にヒートの側へと傾いていく。
19分。ようやく相手ゴール前で攻撃機会をつかんだヒートは、ラインアウトからFWがモール勝負を挑む。崩れた瞬間に持ち出したHO肥田晃季が密集脇を突破し、右中間に飛び込んだ。
もちろんライナーズも引き下がらない。24分、相手の反則に乗じてレッドゾーンへ攻め込み、またしてもSHゲニアが圧巻の個人技でディフェンスを攻略。WTB木村朋也のトライをお膳立てする。
14-10で迎えた36分にはヒートのLOマーク・アボットがデリバレイト・ノックフォワードでイエローカードを受け、15対14の数的優位の状況に。しかし早く点がほしい気持ちからか強引なプレーが多く、スコアにつなげられないシーンが続く。結果的には追加点を奪えないまま、前半を終えた。
運命の後半。待望の次の得点を刻んだのは、一人少ないヒートだった。
キックオフから猛然と体を当ててゴール前に攻め込むと、迫力あるボールキャリーでライナーズ防御を圧迫。最後はNO8パブロ・マテーラが突き抜け、トライラインを越える。
さらに5分にはターンオーバーから右オープンのスペースを攻め、CTBダーウィッド・ケラーマンがラインブレイク。内でパスを受けたLOフランコ・モスタートが約30メートルを走り抜け、中央にフィニッシュする。SO呉洸太のゴール成功で22-14まで点差を拡大した。
攻めるしかなくなったライナーズも懸命にパスをつないで仕掛けるが、取り急いではエラーでボールを失う場面が続出。13分にヒートのLOフランコ・モスタートが危険なタックルでイエローカードを提示され、ふたたび15対14の状況になったが、刻々と減っていく残り時間のプレッシャーも重なり、次第に追い込まれていく。
ようやく膠着状態を打開したのは28分だ。5メートルラインアウトから左大外にオーバーラップを作り、途中出場のWTBティモ・スフィアがトライゾーンへダイブ。しかし続くチャンスはペナルティでものにできず、逆転には至らない。
すると35分、右コーナーのマイボールラインアウトを得たヒートは、FW戦で丁寧に近場を突いてじわじわと前進。最後はCTB岡野喬吾がタックラーを弾いてなだれ込み、勝利を決定づけるトライをマークする。残り2分余りも落ち着いて時計を進め、歓喜のフルタイムを迎えた。