前後半で試合の流れが大きく変わったのは、風の影響に加え入替戦特有のプレッシャーも関係したか。
5月24日に岩手県のいわぎんスタジアムでおこなわれた釜石シーウェイブス対マツダスカイアクティブズ広島のD2/D3入替戦のファーストラウンドは、前半3トライを挙げたシーウェイブスがスカイアクティブズの後半の追い上げを振り切り、33-14で勝利を収めた。
立ち上がりから追い風を利して相手陣でゲームを進める地元シーウェイブスは、開始8分にSOミッチェル・ハントのPGで先制。その後も「分析の段階でフィジカルで優位に立てることはわかっていた」という須田康夫HCの言葉通り、接点で厳しく体を当てて相手の反則を誘い、効率よく陣地を進める。
15分、ケガから6試合ぶりに復帰したNO8サム・ヘンウッドが近場をねじ込んで中央にグラウンディングすると、26分には左ライン際をBKで崩してCTB村田オスカロイドがトライ。29分には中盤でのラインブレイクを起点にWTB川上剛右が右中間へ飛び込み、24-0と一気にリードを広げた。
勢いに乗るシーウェイブスはさらに39分、後半7分にもSOハントがPGを追加。スコアを30-0まで伸ばし、そのまま勝負を決めるかに思われた。
しかしそう簡単には進まないのが、極限の重圧がのしかかる入替戦の難しさだ。そこまでほとんど持ち味を出せなかったスカイアクティブズだったが、後半から投入されたFBボーディン・ワッカが思い切りのいい仕掛けで勢いを生み出すと、15分にキャプテンのFL芦田朋輝が気迫のボールキャリーでポスト右に押さえ、この日最初の得点を挙げる。
これでようやく落ち着きを取り戻したスカイアクティブズは、以降相手の不用意な反則やイージーエラーにも乗じて主導権を握る。
シーウェイブスにイエローカードが出た直後の20分、ゴール前の右展開でワッカのラストパスを受けたWTB中村悠人が右隅にフィニッシュ。さらに24分にシーウェイブスに2枚目のイエローカードが提示されると、ゲームの流れはより明確にスカイアクティブズの側へと傾いた。
しかし早くスコアを詰めたい気持ちからか仕留めの精度を欠き、続く得点機を逃すと、ふたたび流れは反転。逆にピンチをしのぎきったシーウェイブスは息を吹き返し、スコアの優位性を圧力にして着実に残り時間を進めていく。
そして迎えた41分、途中出場のSO落和史が左中間約30メートルのPGを落ち着いて成功。33-14としたところで、フルタイムの笛が鳴らされた。
地元での第1戦で勝利と19点のアドバンテージを獲得したシーウェイブス。一方敗れたスカイアクティブズも、後半に自分たちの時間を作って次戦に望みをつないだ。運命の第2戦は1週後の5月31日、広島県のBalcom BMW Stadiumで12時にキックオフを迎える。