強烈なロータックルをひたすらに繰り返し、「…あれしかできないんで」。末永健雄は微笑む。
身長2メートル級を揃えるクボタスピアーズ船橋・東京ベイのFW陣にあって、身長178センチ、体重98キロというサイズでレギュラーシーズン18戦中17度の先発。そのうち7度はフルで出た。
「はじめのうちは色々と痛いところもあって(動きが)よくなかったんですけど、(気候が)暖かくなって、少しずつよくなった。時間が解決してくれたかもしれないです」
朴訥とした口調で、一時は丹念な治療を施しながら相手の海外選手にぶち当たってきたと明かした。
「身体的にしんどいはしんどいですけど、(ゲームに)出ない方が、辛いっす。多分」
チームはほぼずっと好調に映った。特に防御が光った。スコット・マクラウド新アシスタントコーチのもと、守り方を見直していた。全員が球の出どころを注視しながら、横一枚のラインを保つのを意識したようだ。
ベストタックラーのひとりである末永は、「皆がシステムを信じてやっているところが、いい要因になっています。(ポイントは)コネクション、ケア、ハードワークです」。組織が整備されたメリットを問われれば、ひとりのランナーへふたりのタックラーで対抗しやすくなる点を挙げた。
「(周囲に)人がいないと自信を持って(走者に向かって)上がれなかったり、アタック優位になったりするところがある。ただ、(列が)揃っていればディフェンス優位な状況を作りやすい。そうなると思いっきり、行けます。その後のブレイクダウン(接点)にもプレッシャーをかけやすい」
レギュラーシーズンは12チーム中3位で終え、優勝した一昨季以来となるプレーオフ行きを決めた。
日本一を争う舞台には18日から出る。東大阪市花園ラグビー場で、6位の東京サントリーサンゴリアスと準々決勝をおこなう。以後、最長で3つというノックアウトステージをにらむ。
話をしたのは16日。タフな人が簡潔に述べると凄みがにじむ。
「試合までの1日、1日が大事になってくる感じです。きょうでほぼほぼ(本格的な)練習は終わり。あとは、しっかりリカバリーしたいです。負けたら終わりだからこそ、目の前の一瞬、一瞬にこだわっていきたいです」
金髪がトレードマークだ。数年前に試したところ、祖母にテレビなどで見つけやすいと言われたのを受けて定期的に染め直している。最近は「4月に」とのことだ。
いつも担当してくれる「高校の友達の、地元の友達」は、まもなく故郷の福岡に帰るよう。今後について聞かれ、「(当該の美容師さんが)たまに東京に来るみたいなので、その時にやってもらおうかな」と周りを和ませた。