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SOジャリベール、チャンピオンズカップ決勝初進出のボルドーで輝き放つ。

2025.05.09

トゥールーズSOンタマックとのマッチアップで多くのチャンスを作り出したボルドーSOジャリベール(Photo/Getty Images)

 5月4日の欧州チャンピオンズカップ準決勝でトゥールーズに35-18で勝利し、クラブ初の決勝進出を果たしたボルドー。この歴史的な勝利への大きな一歩となったのは、間違いなく後半開始直後のWTBルイ・ビエル=ビアレのトライだろう。

 しかし、フィジカルバトルで徐々にトゥールーズを圧倒したFWの貢献も忘れてはならない。相手にボールを持たせてプレッシャーをかけ続け、ミスを誘い、数少ないチャンスを確実に得点へと結びつける、盤石な試合運びだった。

 また前日の準決勝第1試合で、優勝候補筆頭とされていたレンスター(アイルランド)をノーサンプトンが打ち破ったことも、ボルドーの選手たちにさらなる自信を与えた。
「熱い気持ちと冷静な判断力があれば、何だって実現できると確信した」とSHマキシム・リュキュは言う。時の空気が、新たな王者の誕生を望んでいるかのようだ。

 この試合で特に印象に残ったのは、プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたSOマチュー・ジャリベールの成長だった。
「試合前、彼はナーバスになっていた。自分が注目され、評価されることがわかっていたのだから」とヤニック・ブリュHCは舞台裏を明かす。

 特にこの試合では、フランス代表のライバルであるSOロマン・ンタマックとの直接対決という構図もあり、比較は避けられない。しかし、ジャリベールはそのプレッシャーを見事に跳ね返した。

「僕たちが好きな、手でボールを回すプレーができる場面は多くあった。でも、戦略的にキックを使い、トゥールーズが得意とする展開に持ち込ませないように決めていた。マチューは、そのプランを完璧に遂行してくれた」とリュキュは賞賛する。

 これまで課題とされてきたディフェンスでも進化が見られた。前半には、自ら蹴ったボールをチェイスし、キャッチしたンタマックに鋭いタックルを見舞い、すぐに起き上がろうとする相手を再び地面に倒してプレーを許さないなど、気迫のこもったプレーでチームを鼓舞した。

 独創的な才能ゆえに、ソリストなプレーに走りがちだったジャリベールが、この試合ではオーケストラの指揮者としてタクトを振り続けた。リュキュとともに、チームを牽引するリーダーとしての役割を全うしながら、チームの一員としてプランを遂行し、チャンスでは彼のインスピレーションを発揮した。この日のボルドーの5本のトライのうち3本は、ジャリベールが起点となっている。

 ヤニック・ブリュHCは、ジャリベールがリーダーシップを高めるために積極的に取り組んでいることを明かし、「ゲームコントロールにおいても、マチューが重要な役割を果たしてくれたことを嬉しく思う」と笑みを浮かべた。

 試合前にリュキュと、「もし死ぬのなら、僕たちの強みと、僕たちが目指すラグビーで死のう」と語り合っていたというジャリベールは、試合後こう振り返った。

「ゲームを楽しみたかった。プレッシャーを受けすぎて、ポゼッションを捨てるようなプレーはしたくなかった。トゥールーズのディフェンスに対しては、彼らの経験を考えると、少し予測不可能なことをして、彼らを惑わせ、後退させることも重要だった。今日は多くのことが僕たちの方に転んだ。でも、FWの頑張りがなければ、もっと難しい試合になっていた」

 決勝戦で対戦するノーサンプトンについては、「とても攻撃的なチームで、僕たちと少し似ていると思う。FWは機動力があり、BKは非常にうまく連携していて、システムも洗練されている。しっかりと分析して、彼らの強みと弱点を見極め、今日のように正確なプランを立てて、それを80分間やり遂げたい。エキサイティングです。僕たちの頭にあるのは、クラブのトロフィー棚をいっぱいにすることだけです」と、力強く語った。

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