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ディフェンスといえば岡野と言われるように。岡野喬吾[三重ホンダヒート/CTB]

2025.04.25

世界のトッププレイヤーが揃うCTBを主戦場とする。「(静岡BRの)タヒトゥアには一度ふっ飛ばされました。(浦安DRの)サム・ケレビもインパクトは凄かったです」(撮影:平本芳臣)

 三重ホンダヒートの岡野喬吾が、4試合ぶりに復帰する。

 背番号13でフル出場した第12節、浦安D-Rocks戦での後半10分のプレーが追加的処分の対象となり、そこで課された3試合の出場停止が明けた。

「故意ではありませんでしたが、やってしまったこと(タックルの際に相手の頭を捻って倒したとされた)が二度と起きないように低く入ることや、想定していない場面で高く入らなければいけなくなった時は手の位置を変えることなどを常に意識しています」

 自身の欠場中も、チームは連敗から抜け出せずにいた。「試合に出たくても出られない。歯痒かった」。その思いを日々の練習でぶつけた。

「試合に出るメンバーに対してプレッシャーをしっかり与えることが、一番のモチベーションでした。本気でぶつかれば、自分の体も動く。出場停止明けにベストコンディションで試合に臨めるように調整してきました」

 入団実質1年目の今季。開幕節から先発の座を射止めた。
 ここまで9試合に出場、うち7試合はアウトサイドCTBとして先発している。

「ここまで出られることは、想像はしていませんでした。ケガ人が出たり、疲労度の関係で、1ブロック(5試合)につき2試合くらいメンバーに入れれば上出来だと思っていました」

 日本代表キャップ7を持つ中野将伍(東京SG)を彷彿とさせるようなコンタクトの強さを誇る。
 184センチ、98キロと恵まれたサイズを生かす。

 もっとも、コーチ陣から評価されたのは献身的な動きだった。
「常にディフェンスに立ち続ける。タックルしたらすぐに起き上がってラインに参加する。どれだけラインブレイクされてもすぐに戻る…」

 ワークレートの高さは、持久力を測るブロンコテストで証明済み。チーム内では「CTBでは一番、SHの次くらいです」。

「小さい時から走るのが好きでした。タイムを縮めようと意識したことはまったくなく、基本一人でただ走ってましたね…(笑)。ラグビーを始める前は野球をしていて、そこでも練習ではめちゃくちゃ走る。もしかしたらそれも繋がっているかもしれません」

 母のママ友に勧められ、みなとラグビークラブに入団したのは小学5年時。
 大正北中、常翔学園、同志社大と進んだ。

 高校、大学と1年時から主力になれたが、大学2年時は苦杯を舐めた。
 武器としていたディフェンスが原因でメンバーから外されたのだ。

「その時からタックルには自信があったのに、『ディフェンスができていない』と言われたのはショックでした。何ができていないかを聞いて、そこをとにかく意識してきました」

 コーチに指摘されたのはタックル後のリロード。映像を確認してその遅さを理解し、いまに繋がる強みに変えた。

 ヒートでも成長はあった。今季からチームに復帰のレメキ ロマノ ラヴァら新加入選手たちの姿勢に倣う。

「リカバリーに時間をかけたり、練習前にめちゃくちゃ早く来て準備して、練習のはじめから良いパフォーマンスができるようになりました。大学の時はちょろっとストレッチだけして練習に臨んでいましたが、いまは30分ぐらい時間をかけてストレッチしたり、アップの前から体を動かしておく。特にマノさんはそうしたところから引っ張ってくれます」

 日本人選手自身の想定よりもプレータイムを得られ、目線も上がっている。
「最初は試合に出たい一心でしたが、いまは試合に出て活躍したい」と意気込む。

「ディフェンスが強みと言ってはいるけど、まだまだいけていない。ディフェンスと言えば岡野と言われるまでになりたいです」

 ヒートが今季挙げた4勝は、いずれもディフェンスの粘りから接戦を制したものだ。
 岡野の活躍はそのまま勝利に直結する。

「ディフェンスがやっぱり好きです。極論を言えば0点に抑えれば負けることはない。それが魅力というか…」

 4月26日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦は、初めてWTB(14)で先発する。

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