ラグビーリパブリック

リッチー・モウンガが絶賛。ブレイブルーパス佐々木剛が思う「自分なりの武器」。

2025.04.24

今季は14試合に出場している佐々木剛(撮影:福島宏治)

 佐々木剛が、リッチー・モウンガに褒められた。

「ディフェンスで頼りになる。常に献身している。観客にとって目立ったプレーは少ないですが、小さいことをよくやってくれます」

 ニュージーランド代表56キャップの名指令塔が、いま所属する東芝ブレイブルーパス東京のFLをこう称えた。2月13日に報道陣へ語った。

 様子を伝え聞いた当事者が微笑む。

「…直接、言われたことはないなぁ…って。でも、ディフェンスの練習中はよく『ナイス! ナイス!』と声をかけてくれます。客観的に見てくれて自信になります」

 身長180センチ、体重101キロの28歳。大東大で主将を務め、2020年に入部した。加入当初から、同期入団で元京産大主将の伊藤鐘平と切磋琢磨してきた。

 クラブの先輩で、ワールドカップ日本大会に出た德永祥尭の薫陶も受けた。個人練習に混ぜてもらい、1対1でぶつかり合い、抜き合いを重ねた。

 後にアシスタントコーチとなる藤田貴大に学び、接点での動きも磨いた。

 互いが繋がる文化のもと底力をつけ、いまは主力格として強靭さを示す。

 粘り腰で前に出てオフロードパスを試みたり、タックルやジャッカルで向こうの波状攻撃をせき止めたり。

 昨季のリーグワン1部でクラブ史上14シーズンぶりの日本一を成し遂げた時期から、周囲では代表入りへ推す声が高まる。

 本人も国際舞台に出るのを望んでおり、待望論を受けこう言葉を選ぶ。

「ずっと、チャンスがあれば(代表入りしたい)と思っています。毎試合、毎試合、一貫性を持ってプレーすれば…と思っています。まぁ、フィジカルもサイズもあるいい7番(自身と同じオープンサイドFL)はたくさんいる。そこへどう食い込んでいくか。自分なりの武器を見つけないと。サイズがない分ワークレートを高くして、ブレイクダウン(接点)に身体を差し込む。低いタックルも習得しないといけない」

 ロールモデルはリッチー・マコウ。元ニュージーランド代表主将の7番だ。

「どこにでもいる(現れる)選手になるのが理想です」

 まず目指すのは今季のタイトルだ。

 昨年5月26日に東京・国立競技場であった前年度ファイナルでは、3季連続ファイナリストである埼玉パナソニックワイルドナイツとの激闘へ70分、出場した。

 約56,000人の観衆を前に神経を研ぎ澄ませ、交代を告げられピッチの外へ出たら…。

「ちょうど、会場ではワイルドナイツへのコールが会場で起きていて。『うわ、こんな雰囲気のなかでやっていたんだ』と…。下がってからのほうが、少し、怖かったですね」

 その後、24-20で栄冠を手にした。

「優勝した瞬間、ちょうどジェイコブ(・ピアス=LO)が横にいたんです。目を見開いて喜んだのを覚えています。そのままグラウンドへ入って、叫びながら抱き合って…。するとK9(この日スタンド観戦の控え組)が降りてきた。皆、泣いていました。しんどいチーム状況を乗り越え、繋いできてくれたベテランが喜んでくれたのは、嬉しかったです」

 再び、しびれる感覚を得たい。

 今年度も前年度のように開幕から白星を先行させ、レギュラーシーズン第13節でプレーオフ行き一番乗りを決めている。現在は12チーム中3位と、激戦の只中にある。25日には東京・秩父宮ラグビー場で、浦安D-Rocksとの第15節に臨む。

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