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スクラムはキツい練習でも楽しい。作田駿介[静岡ブルーレヴズ/HO]

2025.03.27

千葉県出身の作田駿介。5歳から市川ラグビー少年団りとるキングで競技を始めた©JRLO

 3月15日の第11節。埼玉ワイルドナイツを破った試合後、記者会見場に現れた静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督が報道陣を笑わせた。

「作田は首の太さが56センチもある。本来であれば身長3メートルはある計算」

 話の主役は作田駿介。175センチ、108キロの23歳。ポジションはHOだ。

 この日は日野剛志に代わり、後半8分に登場した。
 それまでやや劣勢に映ったスクラムで幾度もペナルティを誘い、最後までリードの5点(22-17)を守り切る。プレイヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

「スクラムでプレッシャーを十分にかけられたと思いますし、この天候(雨)の中でラインアウトの成功率もよかったと思います。個人としても良い仕事ができました」

 スクラムでトイメンに立ったのは、今をときめく新鋭・佐藤健次。1学年上の「先輩」は燃えていた。

「年下には負けられないですし、日本代表に絡む選手なので、自分がいかに戦えるかも個人的にフォーカスして臨んだ試合でした。プレッシャーをかけられたことは大きい収穫でした」

「メンバーに入れてもらえている理由はスクラムがほとんど」と話すほど、スクラムに自信を持つ。
 入団の決め手も、「スクラムが日本一強いチーム」だったからだ。

「スクラムで必ずペナルティ取ること、プレッシャーをかけて相手のミスを誘うことは常に自分の仕事としてやらなければいけないことだと思っています」

 8対8の押し合いに目覚めたのは大学時代(流経大)。「スクラムできつい練習をしていても全然苦じゃないんです」と笑った。
「もう少しこうした方がいいかなと色々考えて、実際に生かせたときの嬉しさは大きいです。楽しみながらやれたことが、いまに繋がっていると感じます」

 冒頭で触れた首の太さは、スクラムを担う田村義和コーチとの個人練習で鍛えられた。
 加入時は「48センチくらい」だったが、そこから10センチ弱太くなったという。

「首を押さえてもらって、(上下左右の)4方向で10秒を10回ずつ動かすシンプルなトレーニングなのですが、それがスクラムに繋がっています。田村コーチの強度(押す力)もすごく高いです(笑)。最近は練習用のシャツだと首周りがキツくなってきましたし、まだまだ太くなると思います」

 アーリーエントリーで加入した昨季は、2試合に途中出場。けが人の影響もあり、いずれも左PRでの起用だった。
 高校時代(流経大柏)から大学でもチーム事情で1番と2番を転々としてきたが、「どちらかのプロフェッショナルになりたいと思っていた」。

 かねてからの希望で今季はHOに専念できた。若手選手を中心に早めにスタートを切った夏の「スクラム合宿」では、他チームと多くのセッションを敢行。

「レヴズのメンバー同士でやるのもすごくレベル高いのですが、それを実際に他のチームとやり合った時に生かせるのか。すごく良い気づきを得られたプレシーズンでした」

 開幕から6試合は出番がなかったが、1月末のレッドハリケーンズ大阪との練習試合で好アピール。2月8日の第7節・ブラックラムズ東京戦からメンバー入りした。
 同チームを相手にした第12節では、初先発を果たしている。

「まだまだ満足はできていないので、もっと圧倒的なスクラムを組めるように頑張りたいです」

 ブルーレヴズ待望のシン・スクラメイジャー誕生か。

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