やや暖かくなりはじめながらも曇り空の3月22日。高校日本代表はケンブリッジRFCのグラチェスターロード競技場でU19イングランド代表と対戦し、47-52という熱戦を演じた。プレミアシップに次ぐ2部リーグに所属するケンブリッジRFCのグランドには約2,000人の観客が訪れ、未来を背負う若きラガーたちの戦いに大きな声援を送った。
試合は、明らかに体格に勝るイングランドが序盤から徹底的に試合を支配し、開始15分までに立て続けに4トライを挙げて0-26と大きなリードを奪う。
試合後、キャプテンのFL申驥世(桐蔭学園)に序盤の大量失点について聞くと、「まだ自分たちが攻めていない状態で取られただけなので、まずは敵陣に行って攻めよう、と話しました」と振り返った。
そして始まった日本の反撃。20分にWTB内田慎之甫(佐賀工業)が相手キックのこぼれ球からトライを挙げると、直後の21分には自陣から果敢に展開し、再び内田がトライをマークする。
24分にはLOアホ アントニオ(青森山田)がラックのターンオーバーからボールを拾い、そのまま走り切ってトライ。立て続けに3トライを奪い、SO丹羽雄丸(桐蔭学園)のゴールもすべて決まって、あっという間に21-26と追い上げた。
その後、イングランドに2トライ2ゴールを許すが、前半終了前には中盤からボールをつないで最後はまたも内田がトライを挙げる。ゴールも決まり、28-40で前半を終えた。
後半に入りいい立ち上がりを見せる日本は、ゴール前のラインアウトモールからHO石原遼(桐蔭学園)がトライ。丹羽のゴールも決まり、35-40と再び5点差に詰め寄る。
その後イングランドに2トライを許し35-52とされたが、取られたらとにかく取り返す日本。67分には敵陣ゴール前ラックの隙を突き、SH後藤快斗(桐蔭学園)がトライ。さらに69分にもキックを起点とした攻撃から石原がこの日2トライ目をねじ込む。7本中7本すべてのゴールキックを決めた丹羽の活躍もあり、47-52とまたもや5点差に詰め寄り、試合は終盤を迎えた。
明らかな体格差をものともせずにディフェンスで必死に襲い掛かる日本。ボールを持てば外へ回し、走り、ラックから素早いボールを出す。両チームともにすべてを出し切った好勝負は、最終的にそのままフルタイムを迎え、5点差の惜敗という結果に終わった。
19歳以下ですでに立派なプロ並みの体格の選手も多いイングランドに対し、まだまだ小柄な選手も多い日本の選手たち。一対一で激しくカチ上げられる場面もあったが、それを恐れずに立ち向かい、見事なボールさばきと走りで攻めるプレーには、地元の観客たちからも大きな声援があがった。
この日、ハットトリックを達成した内田は、「自分のトライはチームメイトたちのパスの結果です。仲間への感謝しかありません」と謙虚に語った。
キャプテンの申は、「失点を35点差以内に抑えるつもりでしたが、ディフェンスには課題が残る試合でした。ただ、試合の最後の20分のラストスパートで逆転するというゲームプランだったので、射程距離に抑えることはできました。最後に仕留めきれなかったのは悔しいです」と試合を振り返った。
惜敗に終わったが、この日の若き桜の戦士たちは、素早いボール捌きとランプレーで観客を魅了する日本代表のプレーを十二分に見せてくれた。試合後に観客席に向けて一礼する選手たちに向けて、「グレートゲーム(素晴らしい試合だった)!」と言って大きな拍手を送る地元のファンたち。未来の日本代表を背負う選手たちは、胸を張って日本に帰ることができるだろう。