台風の目だ。ジャパンラグビーリーグワンの1部にあって、昇格2年目の三重ホンダヒートが順位表をかき回している。
開幕2連勝を含む計4勝で12チーム中8位。特に2月23日の第9節では、前年度まで2季連続4強以上の横浜キヤノンイーグルスに20-17で勝った。本拠地の三重交通G スポーツの杜鈴鹿で2連勝を決めた(ホスト会場では計3勝)。
前年度が12チーム中11位に終わったのを受け、他クラブから多数の移籍選手をスカウト。普段のトレーニングに激しさが増したことで、試合におけるコリジョンバトルの質が変わった。
SHの土永雷は言う。
「去年と比べたらディフェンスがいい。皆がいいメンタルでやっている証拠。相手からしたら、やりづらいディフェンスになっていると思います。移籍してきた人も多いですけど、皆がかみ合って、練習からいいインテンシティ(強度)でできているのが試合に活きている」
スコッドの入れ替わりは連携不良のもととなりがちだが、ヒートは「プレシーズンより早めにスタートしてお互いにコミュニケーションが取れていた」と土永。昨年12月の開幕に向け、7月中旬から鍛錬に励んでいた。「お互いの得意なプレーがわかっていて、繋がりがよかった」と胸を張れる。
総力戦で熱を生むヒートにあって、移籍2年目となる土永もここまで8試合に出場。同時期に入団のキアラン・クロウリーヘッドコーチに、さばきのテンポを評価される。
身長170センチ、体重75キロの26歳。西陵中、現光泉カトリック、帝京大を経て、’21年に福岡の宗像サニックスブルース入り。ブルースでは練習グラウンドの近くの海をリカバリーに使えて、ファンの温かさも感じられた。
ところがクラブは、’22年に休部。’21年7月のリーグワン発足時には3部へ振り分けられるなど、かねて苦境に直面していた。
土永は「さみしい気持ちが一番でした。いつかはなくなるのかな、という感じでしたが、思ったよりも早かった」。失意の時を経て、東海地区の地域密着型クラブに活躍の場を求めた。そしていまに至る。
「勝つ。自分の役割をやり切る」
3月2日の第10節(対静岡ブルーレヴズ/静岡・ヤマハスタジアム)では、今年度7度目の先発出場を果たす。