1対1。ラグビーでは、走者とタックラーのぶつかり合いを表す。「イチ、イチ」と表現することもある。
「イチ、イチで負けないように練習してきた。目の前に誰がいても、負けない」
こう簡潔に語るのはハラトア・ヴァイレア。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属の26歳だ。
GPSアテレ、トンガカレッジを経て16歳で来日し、千葉の日体大柏高、神奈川の日体大を経て2022年度にスピアーズと契約している。
サイズはいまの公式で187センチ、105キロと大きく、ゴールキックが蹴られるうえに球際にも強い。FW、BKで複数のポジションをこなす。最近は、その持てるパフォーマンスを最大限に発揮しつつある。
今季の国内リーグワン1部で、ここまで全9試合に出場。7度トライラインを割っている。
「イチ、イチ」で強さを示しており、WTBで先発の第7節ではハットトリックを達成した。高い弾道のキックを捕る打点の高さも光り、「相手が飛ぶ前に(ボールの落下地点に)身体を入れる」とその秘訣を語る。
潜在能力を発揮する本人は、今後を見据えて「目標は、ふたつある」。現在進行中のレギュラーシーズン、さらにはその先を見据えて話す。
「まずは(スピアーズの)優勝。その後、代表に選ばれる!」
昨年は候補のみの選出に止まった日本代表へ加わり、’25年夏以降のテストシリーズでジャージィを着たい。
「フィジカルで、海外のチームに負けないように…」
分厚い選手層を誇り現在12チーム中3位のクラブにあって、異彩を放つ。フラン・ルディケヘッドコーチは「これまでのハードワークが実っています。WTBの位置を自分のものにしていること、継続的にいいパフォーマンスをしていることを評価したい」と太鼓判を押す。