ラグビーリパブリック

2025年最初の府中ダービー。争点は?

2025.02.15

クラブハウスで取材に応えるリーチ マイケル[BL東京](撮影:向 風見也)

 看板選手が楽しみだと繰り返した。

 国内リーグワン1部で昨季王者の東芝ブレイブルーパス東京は、2月15日、東京・秩父宮ラグビー場で今季第8節に挑む。

 相まみえるのは東京サントリーサンゴリアス。旧トップリーグ以前でいう「東芝サントリー」は、互いの拠点が近い者同士とあり「府中ダービー」とも呼ばれる。

 ブレイブルーパスに2011年入部のリーチ マイケル主将は、クラシコを心待ちにする。

「年間スケジュールで、一番の試合。いいメンタルで準備しています」

 9日の前節では埼玉・熊谷ラグビー場で、埼玉パナソニックワイルドナイツと28—28で引き分けた。先の決勝と同じカードで6勝目を逃した直後に、昨季3戦全勝した相手と対峙する格好だ。

 しかし、精神面でネガティブな要素はないと言い切る。

「ビッグゲームがずっと続いている中でも、府中ダービーは盛り上がる」

 かたやサンゴリアスは今季3勝。開幕から4試合続けて未勝利で、順位はブレイブルーパスより5つ下回る7位。しかしリーチは、ここまで3連勝中と復調のライバルをリスペクトする。

「サントリーも調子は上がっている。去年から追い上げる力はあったし、接戦を勝ち切る能力は高い」

 向こうの伝統的な強みが連続攻撃だと理解する。

 ワイルドナイツ戦で「(衝突の)音、すごかったですよね?」と手応えを掴んだダブルタックルで迫る波を跳ね返し、その場で球出しを鈍らせたい。

「サントリーがボールを早く出せばサントリーらしくなる。自分たちがどんどん、どんどんタックルして止めれば自分たちらしくなる」

 ジョークか、本心か。報道陣を笑わせる。

「サントリー戦ではタックル1,000回、目指していきます!」

 スピードのあるアタックに力強いディフェンスで対抗する。

 この構図をサンゴリアスが逆手に取り、タックラーの死角へキックを重ねる可能性さえも、NO8で先発予定のリーチは十分に把握している。

 向こうのSHの流大の名を挙げ、このように続ける。

「きょう(取材があった13日の実戦形式練習)も、(控え組が)蹴っていました。サントリーは、序盤からトリッキーなプレーをしてくる。警戒する選手は、流! すごく上手。FWを前に出せる」

 好敵手の脅威を把握しているのは、サンゴリアスも同じだ。

 WTBでスタメンを張る尾崎泰雅は、ブレイブルーパスの接点でのフィジカリティを踏まえ「自分たちから仕掛けていく。速いテンポのラグビーで圧倒したい」。ぶつかり合いにおける走者、援護役の鋭さを重んじるつもりか。FLのスターターとなるサム・ケインが続ける。

「東芝の選手はボールの下へタックルに入り、ヘルドアップ(掴み上げる動作)を狙ってくる。それに対しては、キャリー(突進時)の高さ、レッグドライブ、サポートの動きが大切になってきます」

 守っては前年度にリーグMVPとなったSO、リッチー・モウンガをチェックせねばなるまい。尾崎泰は「試合全体を通し、裏のスペースを見たり、自分でキャリーしたり。また、冷静さが、凄い」とし、こうもにらむ。

「でも、自分たちが前に出続けたらミスもしてくれると思っている。そこは、大丈夫です」

 どちらが接点を制するか。どちらがスペースの取り合いを制するか。競技の原理原則に沿った攻防が注視される。

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