バイウィーク明けの2月1日、東京サントリーサンゴリアスは敵地で静岡ブルーレヴズを破った。
今季初の連勝だ。
左プロップで先発した小林賢太は喜ぶ。
「前節でようやく勝つことができ、バイウィークはいい気持ちでリフレッシュできました。再集合した時にいいエナジーで1週間を過ごせたことが結果に繋がったと思います」
自身も前半27分頃に見せた。NO8クワッガ・スミスの真横をフランカー並みのスピードを持ってラインブレイク、好機を演出した。
「自分の強みはフィールドプレーだと思っています。リーグワンのレベル高くなり、チャンスが少なくなっている中で、ああいうプレーを出せたのはよかったです」
地上戦での奮闘以上に勝利を引き寄せたのはスクラムだ。
リーグ屈指の強さを誇るブルーレヴズのパックを抑え、逆にペナルティを幾度も誘った。
「開幕からプレッシャーをかけ続けられています。相手が強いのは分かっていたので、今週もう一度フォーカスできましたし、自分たちの武器にはなりつつあると感じます」
個人としても今季注力してきたのはスクラムだった。右から左に転向したのは早大4年時。まだ4シーズンしか経っていない。
「まだ『自分のスクラム』というものを掴めているわけではありません。毎試合、日々の練習で成長していかないといけないと思っています」
スクラムを担当する青木佑輔アシスタントコーチと日々のトレーニング映像を共有。スクラムのレビューをもらい、修正を重ねている。
「スクラムはフロントローの一番の仕事です。そこが崩れるとスクラムにフォーカスしないといけなくなるけど、逆にそこが上手くいけば得意のフィールドプレーにも余裕が出てくると思っています」
今季は転機を迎えたシーズンでもある。昨オフに社業を辞め、プロ契約に切り替えた。
きっかけは、2023年のW杯期間中に招集されたバーバリアンズでの経験だ。
「人生観が変わりました」
欧州のクラブと対戦しながら約6週間、海外のトップ選手と交流し、自分の中の世界が広がったという。
「もっと見分を深めたいと感じましたし、英語に対してのコンプレックスを克服したいとも思いました」
個人でオンライン英会話などに励むだけでなく、7月にはオーストラリアに約1か月渡った。
バーバリアンズで親睦を深めた、ワラビーズのキャプテンを務めるNO8のハリー・ウィルソンの実家にホームステイ。地元チームのブラザーズの練習にも参加した。
「向こうのラグビーを体験して経験値を上げたいということもありましたが、バーバリアンズで出会えた友人と再び会えるのは、ラグビーをする上で大きなモチベーションになります」
だから、10月に国立で開催されるワラビーズ戦に出たい。その先の2027年にはオーストリア開催のW杯が待っている。
「自分の中でオーストラリアは特別な意味を持つようになりました。まずはサントリーで結果を残すことが最優先です。その上で代表になりたいという気持ちがものすごくあります」
復調に向かうチームを牽引する。