子どもが生まれたばかり。ブレイブルーパスのジョネ・ナイカブラ、出色の働きも謙虚。
母国のフィジーが好きだ。昨年は、日本代表の活動がオフに入った初夏のタイミングで里帰りした。一家でゆっくり過ごした。
働き場の日本も好きだ。所属する東芝ブレイブルーパス東京のグラウンドの近くに、馴染みの定食屋がある。「鮭カマ」をよく頼む。
ジョネ・ナイカブラ、30歳。2023年のラグビーワールドカップフランス大会でこの国を代表した韋駄天は、今季の国内リーグワン1部でも持ち味を発揮している。
相手を置き去りにする健脚を披露し、5試合すべてに先発して4トライを決めた。
1月5日の東京・味の素スタジアムでの第3節では、対するコベルコ神戸スティーラーズを32-26で下した。ハイライトシーンのひとつを作ったのは、後半37分というタフな時間帯だった。
混とん状態で味方CTBのロブ・トンプソンからパスをもらい、約40メートルのビッグゲインを決めた。タックラーを置き去りにして、この日自身2度目のフィニッシュを記録したのだ。
もっとも本人は、「あそこは…パスは欲しくなかったけど、もらったのだからしょうがない。全力で走りました!」と冗談交じりに言う。
周りから好調に映ったとしても、自分には厳しい。
「チームの調子はいいように感じますが(4勝)、私はもっとフィットネス(持久力)の強化に集中しないといけない」
公式サイズは身長177センチ、体重95キロ。身体を絞ったほうがランのきれが出やすいと感じる一方、ナショナルチームの一員として世界で戦うには一定以上のサイズが求められる。自身の肌感覚、首脳陣のニーズを踏まえ、最適解を探っている。
「いつも冬はたくさん食べてしまって体重が増えがちですが、今年は維持に努めています。重たくなりすぎると、走ってからのリカバリーに時間がかかるので」
家族を愛する父親として、ジョークを交えて続ける。
「妻のベーキング好きはコントロールできませんが、私は食後にレモンジンジャーティーを摂るようにしています」
1月下旬にあったリーグワンの休息週には、新たな幸せを感じた。長男が誕生したのだ。
‘23年3月には長女に恵まれている。妻へ感謝すると同時に、日本での出産のプロセスにも感銘を受けていた。医療機関における言語の壁にも、何とか対応できるという。
「フィジーでは、(母親は)出産翌日には退院、帰宅しています。ただ日本では産後1週間は病院に残る。これには助けられています。(院内でのやりとりでは)英語を話せる看護師さんもいますし、『Google翻訳』もありますから!」
2月2日、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿での第6節でもスターターを担う。三重ホンダヒートとぶつかる。