ナナイロカップは4回目を迎える。しあわせの「4」。おめでたい。
大会の正式名称は「北洋建設presents Nanairo CUP北九州」。国内の女子7人制ラグビーの春、そして年度の幕開けと言っていい。勝負と普及と発展を内包した年1回の大会は2022年に始まった。
今年は来月2月8日、9日の土日に開催される。8日は予選、9日は決勝だ。会場は福岡県のミクニワールドスタジアム北九州。新幹線駅のJR小倉から徒歩7分である。
大会は「KYUSHU WOMEN’S SEVENS 2025」の副題がつく。セブンズは7人制の意。出場は海外を含め10チームだ。白を基調にしたジャージーの「ナナイロ プリズム福岡」がホストチームである。その創部は大会が始まる3年前、2019年である。
国内セブンズの女王、ながとブルーエンジェルスも参戦する。隣県、山口で活動するチームは昨年、国内最高峰で4戦制の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで年間総合優勝を果たした。連覇とする。
8、9日の両日ともに入場は無料だ。主催は日本ラグビー協会。共催は北九州市と一般社団法人の「Nanairo lab」(ナナイロ ラボ)である。市はスタジアムを保有する。Nanairo labは3つの活動を主に据えるが、そのひとつがナナイロ プリズム福岡の運営である。
小早川卓也はナナイロカップの実行委員会の事務局長である。実務的なトップだ。
「ラグビー好きの方にはもちろん、色んな方に興味を持ってもらえればいいですね」
飲食やイベントなども充実させ、さらなるファンの拡大と新規取り込みを狙う。
ラグビー観戦に付随して、スタジアム内では大会記念として、春らしい「ラガールいちごメロンパン」が販売される。北九州のBakeryまほろばの特製である。苺の大福餅、オムライス、ホットサンド、たこ焼き、鶏のから揚げ、うどんなども提供される。
ビールなどの酒類やソフトドリンクなどとともに佐嘉酒造の日本酒で割ったハイボールも販売される。佐賀にあるこの酒蔵は300年以上の歴史を誇り、協賛の北洋建設を中核とする「地域みらいグループ」に属する。
初日8日には献血車が来る。日本赤十字社とともに献血を呼びかけ、冬の輸血用血液の不足解消を狙う。Nanairo labの3つの活動のひとつは人々の健康増進に寄与する社会貢献がある。その一環になる。
Nanairo labの残りひとつの活動は重度のスポーツ障害、頸椎損傷などへの対応だ。この法人を中心として立ち上げたのはラグビー経験者の村上秀孝。整形外科医ということもあり、その活動は医療に寄る。
献血と入れ替わり、翌9日には警察とのふれあいイベントがある。小倉北署が協力して、パトカーや白バイがやって来る。乗車や写真撮影などが可能だ。両イベントはスタジアムの西側にある浅野町緑地で開催される。
家族で楽しめる企画はほかにもある。9日には地元・福岡のテレビヒーロー、「ドゲンジャーズ」のオーガマンとキタキュウマンが登場する。写真撮影の時間あり。2人は会場でのお出迎えや表彰式も手伝う。
この4回大会から北九州女子短大の協力により、託児所がスタジアム内に設置される。遊具の「ふわふわアンパンマン」もある。プレゼント抽選も準備。来場時に登録をするとセプター社製の大会試合球などが当たる。試合球のデザインは大会ごとに新調され、参加10チームの主将のサイン入りだ。
久木元孝行(くきもと・たかゆき)は大会を心待ちにしているひとりである。
「私もお邪魔します。海外からも女子が北九州に集まる。チームが中心になって始めた先駆け的な大会ですから」
久木元はナナイロカップを主管する九州ラグビー協会のトップ、会長である。この協会は日本協会を関東、関西とともに補佐する三地域のひとつである。
久木元は71歳。宮崎の延岡高から明大に進んだ。ポジションはWTB。4年時の第13回日本選手権(1975年度)では三菱自工京都(現レッドエボリューションズ)を37-12で破り、明大唯一の日本一に輝いた。日本選手権は大学と社会人の優勝チームが戦った。
卒業後は九州電力に入社。今の九州KVでプレーした。久木元には考えがある。
「こんな素晴らしい大会がある。九州は女子をクローズアップしていきたいですね」
社会人のリーグワンは全国、大学は秩父宮のある関東、高校は花園のある関西を中心に動いている。九州は女子に特色を見出す。
そのナナイロカップは国内女子の15人制シーズンと太陽生命ウィメンズセブンズシリーズをつなぐ。昨年、シリーズ開幕は4月だった。今年は2か月遅い6月になる。これはセブンズ日本代表の選手たちがそれぞれの所属先のチームで戦えるように、国際大会と重ならない時期に動かされた。
そのセブンズ日本代表は最高タイになる5位に入った。世界最高峰の「HSBC SVNS 2025」の第3戦、パース大会である。オーストラリアの西部であった5位決定戦において、アメリカを29-22で降した。3日間開催の最終日、1月26日のことだった。
この代表にはナナイロ プリズム福岡から吉野舞祐、大橋聖香、永田花菜が選ばれ、吉野は主将を任された。この3人の成長は今まで3回のナナイロカップと無縁ではない。昨年のこの大会はながとブルーエンジェルスが優勝、ナナイロ プリズム福岡は3位だった。
ナナイロ プリズム福岡は続く太陽生命ウィメンズセブンズシリーズの総合順位は6位。4戦を見れば、初戦の北九州大会の3位が最高だった。さらに高みにゆくためにもこのナナイロカップで勢いをつけたい。大会はYouTubeによるライブ配信もなされる。
Nanairo labを軸に大きくなってきた大会は、この国のラグビー首脳陣のひとりでもある久木元も賞賛を送り、期待を寄せる。それはまた行動すること、一歩を踏み出すことの大切さをラグビー界に伝えている。
◆2025参加チーム(国内7、海外3)◆
ナナイロ プリズム福岡
ながとブルーエンジェルス
女子シニアアカデミー
自衛隊体育学校PTS+BRAVE LOUVE(合同チーム)
追手門学院大 VENUS
琉球アイランドガールズ
神戸ファストジャイロ
Briars Rugby Club(オーストラリア)
Bond University Rugby Club(オーストラリア)
B.A.C(シンガポール)