ワールドカップイヤーに突入した。
サクラフィフティーンこと女子15人制日本代表で常連と言える古田真菜は、それを「意識します」。1月18日、東京・スピアーズえどりくフィールドにいた。イングランドである4年に1度の大舞台を今年8月に控え、全国女子選手権の準決勝へ挑んでいた。
東京山九フェニックスの13番として、先発フル出場した。九州・ながと合同を41-13で下すまでの間、チームメイトの存在感に助けられた。
フェニックスの隊列には、FBの松田凜日ら昨夏のオリンピックパリ大会に出た7人制日本代表のメンバーもずらり。サクラセブンズと呼ばれる同代表勢に、古田は頼もしさを覚えた。
「(サクラセブンズの面々は)ディフェンスのレンジも広いですし、ワークレートも高いから、『本当、ありがとう』という感じです。皆のいいプレーを知っているからそれを引き出せるようにと思ったんですけど、そんなことをしなくても勝手にそうできてしまう(それぞれが活躍する)」
7人制ではあまり求められないキック処理とそのための位置取りについても、合流から短時間でアジャストしてくれたようだ。
仲間のパフォーマンスを賞賛する傍ら、自分には厳しい。
世界で結果を出すべく、さらなるレベルアップを図っているからだろう。
「大会に入る前に、ちょっと自分のことを振り返った時に『まだまだ頑張らないとなー』という気持ちになっていました」
本人が目指すところは、「ディフェンスで勢い出して、アタックラインをコントロールして、キャリー、パス、キックと、色んなオプションで脅威になりたい」である。
‘22年1月にはオーストラリアのブランビーズスーパーダブリューへ期限付き移籍をし、海外のリアルを知った27歳。自身が世界で「脅威」となるための心得について、こう話している。
「うーん…。多分、自分ひとりではあまり(世界レベルでは)通用していないのかなと感じていて。でも、周りがいるから(組織的に防御の)ラインを上げられていて、タックルの接点では負けたくないと思っています。あとは、ハードワークしたいです」
プレー中に休む時間を極限まで減らし、「周り」と繋がりながら相手の個を凌駕する。速さ、強さでは測れない領域に活路を見出す。
「スピードトレーニングも、フィジカルの強化もしています。だけど私は、ひとりで通用しないとわかっているからこそ活かせる強み——周りを活かして、自分も活かすこと——を、他の海外の選手にはない強みにしたいです」
今回のセミファイナルでは、守りはもちろん攻めでもその意識を覗かせた。迫るタックルにぶつかるのとほぼ同時に空間へパスを通し、味方を前進させることがあった。
それでも謙遜する。
「うまくいったシーンも、いかなかったシーンもあります。精度、上げたいです」
2月2日には東京・秩父宮ラグビー場で、PEARLSとの決勝へ挑む。PEARLSは、ニュージーランドから来日のポーシャ・ウッドマンを擁する。
ワールドラグビーの年間最優秀選手賞を15人制(2017年)と7人制(2015年)の両方で受賞している唯一の女子選手は、古田と同じCTBを担う可能性もある。古田はその対戦も心待ちにする。