ラグビーリパブリック

レジェンド中村知春の新しい挑戦。「これをやらずに終わらなくてよかった」

2025.01.23

全国女子選手権・準決勝に九州・ながと合同として出場した中村知春©︎JRFU

 私はどこかと後輩たちに訪ねていた。ラグビーでのポジショニングについてだ。

 これまで2度の五輪出場を果たしてきた36歳の中村知春は、これまでの主戦場だった7人制とやや異なる15人制へも挑戦している。

 1月18日には、東京・スピアーズえどりくフィールドで、全国女子選手権の準決勝に九州・ながと合同のFLで先発した。プレーのたびに周りに立ち位置を確認する自らの様子を「パイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップ」のワンシーンになぞらえる。

 スピーディーな7人制とぶつかり合いの多い15人制との違いについて、冗談交じりに伝える。

「ラグビーを経験できた冬。これをやらずに(現役が)終わらなくてよかった。これで、ラグビーをやっていましたと言える」

 今度のゲームは、リーグワン1部・第5節とのダブルヘッダーで実施された。

「何とか女子を盛り上げようとしてくださっている(関係者の)労力を感じます。選手では届かないところがある中、目を向けてもらうきっかけを作ってくださったことには感謝しています」

 2024年はフランス・パリで、女子7人制日本代表として自身2度目のオリンピックを経験した。現地では滞在中の様子を事細かにSNSで伝えながら、フィールドで身体を張って過去最高位の9位となった。

 帰国後に挑み始めたのが、15人制であった。自らゼネラルマネージャー兼選手として立ち上げていたナナイロプリズム福岡の一員として、ながとブルーエンジェルス、九州産業大と連合軍を作って全国選手権へ出た。

 全員が顔を合わせてトレーニングする時間が限られた中、実戦を通して手応えを掴んだ。

「自分たちで自分たち(の完成度の高さ)にびっくりしていた感じ」

 今回のセミファイナルでは、代表経験者の多い東京山九フェニックスに13-41で敗れた。もっとも、後半3分の自らのトライなどで一時は13-19。接戦を演じられた。

「来年へいいお土産をもらった。来年はフェニックスさんを全力で倒したいです」

 来季も今年度と似た形で15人制の全国を目指す。

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