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【サクラフィフティーン PICK UP PLAYERS】もっとうまく、もっと勝ちたい。齊藤聖奈[FL・NO8/三重パールズ]

2025.01.23

遠征中はショッピングで心身を癒す。WXVではルイボスティーを大量購入したとか。写真は昨年8月のアメリカ戦(撮影:長尾亜紀)

 リーチ マイケルが年を重ねてもそうであるように、サクラフィフティーンの最年長、齊藤聖奈の存在感も絶大なままだ。

 32歳は先のWXVで3トライを記録、決定力の高さを見せつけた。ゴール前でボールを持てば、必ずゴールラインを越えてくれる安心感がある。
「テンポのタイミングと速さ、ディフェンスの動きを見ることは意識しています」

 コリジョンバトルでの成長も大きい。今春は日本人で初めてNZのスーパーラグビー・アウピキに挑戦。チーフス・マナワに所属した。
「日本ではダブルタックルが基本ですが、向こうでは1オン1と言われて…(笑)。できていたかは分かりませんが、一人でなんとかしようと結構練習しました。コンタクトは強くなったと思います」

 2年前のW杯前には12-95と圧倒されたブラックファーンズの面々が揃うリーグに身を投じたが、通用する実感も得られた。
「上手いし強いなとは思ったけど、SHからボールが出るタイミングは日本の方が速いと感じました。日本は体が小さい分、チョップタックルも武器になるなと。来年のW杯(初戦)でリベンジしたいです」

 海外挑戦はかねて望んでいたが、女子ラグビーのカレンダーにオフはない。春のセブンズが終われば冬は15人制。夏、秋はテストマッチ。所属する三重パールズでキャプテンを務めていたこともあり、抜ける機会がなかった。
 今回の挑戦が叶ったのは、セブンズを〝引退〟したからだ。

「昨シーズンの太陽生命の最終戦を終えた時に、セブンズはお腹いっぱいだなと。急にそう思いました。それまで自分がどう引退するのか分からなかったけど、自分はこういう感じで辞めるんだと。15
人制も、今シーズンまでと決めるのではなく、気持ちが切れた時にパッと辞めるんだと思います」

 現状、その兆候はない。むしろ、「この年齢になって引退するのが惜しいと感じる」という。
「もっとうまくなりたいし、もっとこのチームで勝ちたい。W杯では2大会とも良い結果を残せていない。それは自分のラグビー人生を振り返っても、悔いが残っている大会です。だからこそ、来年はしっかり結果を残して子どもたちに憧れられるようなチームになりたいです」

 WXVでの攻守に渡るパフォーマンスの高さは代表内でも随一だが、「若手に刺激されて満足することはなかった」と振り返る。
「いまのチームは若い子でも遠慮なくガツガツきます。いい意味で上下関係がないので、チーム内の競争力をもすごく上げてくれています」

 最多キャップ(47)を更新し続ける元キャプテンは、サポート役に徹する。立場を理解しての行動だ。
「私が言ったことを若手が否定するのは難しいかもしれないので、できる限り発言しないようにしています。チームを引っ張るのは(主将の長田)いろはたちに任せて、それをフォローする姿勢を他のチームメイトにも見せることが私の役目だと思っています」

 三度目の正直。次こそ笑う。

(文/明石尚之)

※ラグビーマガジン2月号(12月24日発売)の「女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は12月16日時点。

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