第61回全国大学選手権の3回戦、明治大と東海大の一戦が12月14日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた。激しいフィジカルバトルが繰り広げられたゲームは、明治大が東海大を50-17でくだし、準々決勝へと駒を進めた。
主導権を先に握ったのはリーグ戦3位の東海大だった。
「先手必勝。相手(の頭)にクエスチョンマークをつけさせたかった」と、木村李由監督が試合後に語ったように開始早々からプレッシャーをかける。
キックオフボールには想定通りのチェイスを仕掛け、明治大のノックオンを誘発。ブレイクダウンでも懸命にボールへとからみ、ターンオーバーの場面を幾度となく作った。
この積極的な姿勢が実ったのは前半15分。中盤敵陣でのラインアウトモールを押し込み、相手ディフェンスを後手に回らせる。最後はラインの間隙を縫ったSH山田莞大が抜け出し、ゴールエリア中央へと侵入。コンバージョンも決まって7点を先制する。
一方の明治大はSO伊藤龍之介の個人技や、WTB白井瑛人のハイパントキャッチを起点としたアタックで3本のトライを奪い、逆転に成功。しかしFL薄田周希を中心とする東海大の出足鋭いタックルに、アタックラインを下げさせられる場面が目立つなど、どこか波に乗れない。
前半は21-10と明治リードで折り返すも、ゲームの行方は読めないまま後半を迎えた。
残りの40分も同様の展開に持ち込み、逆転を狙いたい東海大だったが、いきなり手痛いミスを犯す。明治大のキックオフボールをキャッチするも味方同士で重なり、オブストラクションを取られる。
「後半の入りの反則で、自分たちに?マークがついた」(木村監督)
この指揮官の言葉通り、ここから流れが明治大へと大きく傾く。
4分、ラインアウトのサインプレーをきっかけに一気にゴール前へ。最後はスペースの生まれた右サイドを白井が走り切り、スコアを26-10とした。
さらに疲労の蓄積からか、東海大の規律に乱れが生まれ、反則がかさんでいく。
これに乗じた明治大は17分にCTB平翔太、21分にはFL福田大晟がゴールラインを陥れ、26分には途中出場のWTB竹之下仁吾がスピードとステップで3人をかわし、左のタッチライン際を約60メートル走り切った。
この3つのトライでリードを大きく広げた明治大が、50-17の大差でベスト8入りを決めた。
大会初戦での敗退となった東海大主将のCTB近藤翔耶は、「ディフェンスでやろうとしたことは体現できたが、後半は疲れてペナルティが増えてしまった」と、唇を噛んだ。
対する明治大の神鳥裕之監督は、「まずはホッとしている」と安堵の表情。早明戦で脳震盪を起こした主将のNO8木戸大士郎、副将のCTB秋濱悠太、LO佐藤大地と主力3人を欠く陣容での勝利に、素直に喜びを表した。ゲームキャプテンを務めた福田は、「(試合の)入りは東海のブレイクダウンに圧倒されたが、一貫性を持って戦ってスコアが生まれた」と冷静に試合を振り返った。
正月越えをかけた、関西王者・天理大との準々決勝に向けては、「相手の分析はしっかりするが、それに引っ張られず積み重ねてきたことを信じて挑みたい」(神鳥監督)。この試合は三重への遠征となるが、ノンメンバーも含めて全部員が足を運ぶ予定だという。
<次戦日程>
・12月22日(日)天理大vs明治大@三重交通Gスポーツの杜鈴鹿