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日本代表入りに迫った高本幹也、エディー・ジョーンズからもらった課題は? 

2024.12.02

トレーニングマッチにSOで先発出場した高本幹也(撮影:向 風見也)

 誰から聞かれるでもなく漏らした。日本代表としてワールドカップに4度出場のリーチマイケルは、こう感嘆した。

「高本幹也、凄い」

 11月30日、東芝ブレイルブーパス東京の主将として東京サントリーサンゴリアスと対峙。国内リーグワンの開幕を約3週間後に見据えたプレシーズンマッチの直後、会場の本拠地で向こうの司令塔を褒めた。

 昨季王者の自軍はこの日初めて主力同士で戦っていて、「サンゴリアスに対してディフェンスのプランを少し変えた。はまったところはよかったけど、はまらなかったところがスカスカになった」といった事情も抱えていた。とはいえ、前年度新人賞の23歳を讃える思いはかわらない。

 身長171センチ、体重80キロの本人はこうだ。

「いまは、サンゴリアスの優勝しか考えていないので」

 先制点をアシストしたのは6分頃だ。敵陣ゴール前での連続フェーズで、左大外の穴場に回り込んでフリーの味方のフィニッシュをおぜん立てした。サンゴリアスが21-14と7点をリードして迎えた後半6分頃には、大胆な展開で追加点を促した。

 総じて、防御を引き寄せてのパスで攻防の境界線を破り続けた。左足でのキックでも向こうの急所をえぐった。

続く24分には鋭いランで自らトライを奪い、6本あったゴールキックの成功率を100パーセントに保ったまま交代。42-21。最後は47-28で勝った。

「東芝さんがプレッシャーをかける中、どこが空いているか(を探す)。きょうはパスが多かったですけど、自分の前が空いていたらキャリーします。状況を見て判断できればいいかなと思います」

 反省も忘れない。試合序盤に得点機を失うまでの流れを踏まえてか、こう語る。

「ゲームコントロールで納得のいかないところがある。開幕までに修正したいです」

 相手の強いタックルとしつこいジャッカルが決まって流れを止められたとしても、「(ゲームの構造上)空いていないスペースはないので、その空いているスペースにチームをドライブしたいです」。圧力下にあっても落ち着いて攻めどころを見つけたい。

 旧トップリーグ時代の2017年度を最後に日本一から遠ざかるサンゴリアスでは、その当時の優勝を知る元司令塔が新ヘッドコーチとなった。

 小野晃征。日本代表としては、’15年のワールドカップイングランド大会で南アフリカ代表などから歴史的3勝を挙げている。

 統率力と判断の妙で数々の修羅場をくぐってきた37歳のバイリンガルは、自らと似た背格好でもある若き10番の成長点を挙げる。

「誰が出ている時もいいコミュニケーションを取ること。うまくいっていない時に全員をひとつの方角へ向けるのが10番の力です。色んな状況を経験することで、彼の判断力、影響力は大きくなると思います」

 リーチ、小野といったジャパンの歴史を築いた面々に期待される中、高本自身もジャパン入りを目指す。

 今年6月には、日本代表と繋がるJAPAN XVへ約1週間のみ参加。マオリ・オールブラックスとの非テストマッチへ12分のみ出て、離脱している。

 約9年ぶりにナショナルチームへ復帰したエディー・ジョーンズヘッドコーチは、10、11月のツアーに高本を呼ばなかった。「課題に取り組んでもらっている」と、チーム活動を優先させる考えを明かした。

 高本は明かす。

「代表に入ってワールドカップに出るのが目標なので(現状に)悔しい部分はありますけど、開幕は、いいスタートを切れそう。いい感じです。(ジョーンズからは)身体を大きく…というところと、日本代表に合うプレースタイルはこうだよというのを教えられ、取り組んでほしいと言われました。それは、サンゴリアスで取り組んでいることと変わらないです。加速、小さいスペースを抜き切るところ…。それは昨季が終わった時も課題だと思っていたことなので、(ジョーンズと)見えているところは一緒だったかな、と感じます」

 今年の日本代表は代表戦で4勝7敗と負け越し。この隊列に自らが加わり、変化を加えるには「リーグワンの結果が日本代表の選考に繋がる。まず、結果を出す」。だからこそ宣言する。

「サンゴリアスの優勝のために、100パーセント(の力)を出したいです」

 12月21日の東京・味の素スタジアムでの今季初陣では、昨季準優勝でレギュラーシーズン1位の埼玉パナソニックワイルドナイツに挑む。

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