元日本代表の五郎丸歩氏が10月5日、ヤマハイノベーションセンター横浜で記者会見を開き、一般社団法人「Future Innovation Lab」を設立したと発表した。
自身が代表理事、EXILEのAKIRAさんらが理事を務め、静岡県磐田市でまちづくり活動を支援する。
目下の目標は音楽フェス「磐田シーサイドドリームフェス」の成功だ。来年11月8日、9日に浜松シーサイドゴルフ場で開催される。
五郎丸氏は、現役を引退した2021年から静岡ブルーレヴズのクラブ・リレーションズ・オフィサーとして運営側に回り、イベント企画やチケット販売など活動は多岐に渡った。
リーグワン2023-24のホスト最終戦(5月5日)では、ヤマハスタジアムにほぼ満員の1万3814人の観客を集めた。
これが、法人設立のきっかけになったという。
「満員の光景を見た時に喜びもありましたが、次のステージに行けと言われた気がしました」
その試合にゲストとして来場した磐田市出身のAKIRAさんと意気投合。6月にはクラブを退団した。
「これまではヤマハスタジアムにどう人を呼び込むかを考えた3年間でした。次のステップでは磐田市にいかに人を呼び込むか、そして磐田の人々にいかに幸福になっていただくかにチャレンジしていきます」
福岡県出身だが、「一番長く住んでいるし、新幹線を降りて一番落ち着く場所」と磐田愛を語る。
「リーマンショックでヤマハが大変な時も、磐田は背中を押してくれましたし、2015年のW杯後は(五郎丸フィーバーが沸き起こる中で)そっとしてくれました。この街にラグビー以外で何か恩返しがしたいという気持ちがずっとありました」
磐田の人たちの気風も好きだ。
「遠州弁で『やらまいか精神』というらしいのですが、磐田の人たちは、とにかくやってみようと言ってくれます。チャレンジしようとしたことに対して、温かく受け入れて、背中を押してくれるんです」
音楽フェスをゴルフ場でおこなうのは「恐らく国内初」。前例のない挑戦は、市の協力なしには成しえなかった。
芝が荒れることは容易に予想できるが、記者会見にも出席したグラウンドキーパーは「とても協力的」という。
「普通であれば絶対に貸さないですよね(笑)。でも今回、こうして背中を押していただいた。11月にしたのは芝が一番強い時期とうこともありますし、10月までは近隣のお祭りが盛んでそことのバッティングを避けました。近年の11月であればまだまだ温かいですし、いい環境で開催できると感じています」
同フェスは1万人以下の規模感を想定している。磐田が誇る2つのヤマハ(音楽とスポーツ)を融合させた新たな発想で、既存のフェスとは異なるイベントを目指す。
「フェスは大人のイベントというイメージが強いですが、僕らがやりたいのは大人も子どもも楽しめるイベントです。内容は後日発表しますが、(ゴルフ場と別会場の)竜洋なぎの木会館では子どもたちの夢を実現する体験型のイベントをおこないたいと思っています」
ラグビー界から離れることを残念に思うファンもいるだろう。しかし、さらなるラグビーへの貢献を思案したからこその決断だったと明かす。
「一見、ラグビーとはまったく関係ない動きのようにも見えますが、ラグビーだけしか知らないよりも、外の世界もしっかりと理解した上で、ラグビーを大切に思う人が戻ってくるのが理想的だと思っています。W杯は最短で2035年に再びやってくる。あと11年で何ができるかを考えた時に、ラグビーという看板を一度下ろし、フラットな状態で街や人と繋がりながら組織を作り上げていきたいと思いました」
ラグビーへの思いは変わらない。
いまは、新たな挑戦に「ワクワクしている」と語った。