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【日本代表秋の総括会見②】求めるのは困難に立ち向かうタフさ。「チームとして一番大事な時期を過ごしている」(ジョーンズHC)。

2024.11.26

ウルグアイ戦とイングランド戦でキャプテンを務めたSH齋藤直人。貴重な経験を積んだ(Photo: Getty Images)



 11月26日夜にヨーロッパツアーから帰国したラグビー日本代表。同日夜には羽田空港で、エディー・ジョーンズHCと永友洋司男子15人制日本代表チームディレクターが秋の代表活動の総括メディアブリーフィングをおこなった。リポート①に続き、ジョーンズHCの会見の模様を抜粋してお伝えする。

(秋の代表活動で敗戦が重なったことについて)
「もちろんテストマッチは勝つために挑んでいます。しかし、勝つためには負けることも必要だと感じています。

 現状、我々は格下か同等のチームとは互角に戦って勝利を得ることができていますが、格上相手の勝利にはつなげられていません。しかし、この問題は2019年からずっと直面していたものです。現在、我々はこの問題を認識し、どうやれば格上に勝利できるかという話し合いを進めています。

 ただし時間はかかります。勝つのがいつなのかと聞かれれば、もちろん明日勝ちたいと思っています。しかし実際に1年かかるのか、2年かかるのか、もしくW杯までかかるのか、それは誰にもわかりません」

(SOを固定できなかった点について)
「現在の日本には、我々のチームに合う10番がいないのが実情です。

 李承信はシーズン序盤でとてもいいプレーをしていました。テストマッチでプレーできるすばらしい10番になる可能性がありますが、今はケガをしています。

 立川理道も今回のツアーで10番としていいプレーをしていましたが、ケガをしました。これは我々がわざとSOにケガさせたわけではなく、ラグビーの一環としてケガをしてしまったのです。

 今後は大学のプレーヤーも見ていきたいし、若いプレーヤーを育てていくことが大事だと思っています。来シーズンの終盤までには、10番として有望な選手を3名そろえたいと思っています。ただし、ケガをコントロールすることはできません」

(大敗が続いたことで選手が自信を失うのではないかという質問に対して)
「我々は今、チームとして一番大事な時期を過ごしています。こういった時期は、どのチームにも普通にあることです。たとえばウエールズは2023年のW杯でベスト8に進出しましたが、今年度は1試合も勝っていません。

 もちろん我々が今難しい時期を過ごしているのは理解していますが、プレーヤーのことについてはあまり心配していません。我々はタフなプレーヤーを求めていますし、どういった状況でもやり続けるプレーヤーが必要です。何か問題が起こった時、ともに立ち向かう勇気のあるプレーヤーです。

 私にとって大きな仕事になっていることは認識していますし、みなさんが結果に対して不満に思う気持ちもわかります。しかし、現実的になる必要があります。フランスやイングランドに簡単に勝てると思っていましたか? 我々のスコッドにはタフなプレーヤーが必要ですし、選手たちがこの問題に対処し、立ち向かうためには惜しまずサポートします。

 今回、齋藤直人は初めてテストマッチでキャプテンを務め、すばらしい働きをしてくれました。イングランド戦の準備の1週間で、選手の中でゲームプランについてわからないところや不安があるといった部分が見てとれた時がありました。そこで齋藤に、チームの中でミーティングしてはどうか、と提案したところ、齋藤本人がメンバーを集めてミーティングをしていました。

 こういったところをプレーヤーに求めていきたい。今は、チームとしてごく当たり前の時期を経ていると思っています。完璧な時期などあり得ません。

 竹内柊平はイングランド戦の後、本当に打ちのめされていました。トイメンのエリス・ゲンジに完全にスクラムを支配され、絶望していたように見えました。

 しかし次の日、竹内は朝起きて、今後自分がよりよいプレーヤーになるためにはどうしたらいいのかを考えていました。我々にはこういったプレーヤーが必要です。

 こうした状況に立ち向かえない、許容できないプレーヤーは、チームにいられなくなります。しんどい時にいかにタフでいられるか。そういったところがプレーヤーに求められるし、チームにとって必要な部分です。

 チームが困難な状況の時に、陰で何かをいうのではなく、自ら立ち上がり、ジャパンらしく、自信を持って問題に立ち向かっていく。そうした選手が必要だと思っています」

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