ニール・ハットリーが、「いい日曜の朝だった」と強調した。
ラグビー日本代表でエディー・ジョーンズに従うコーチングコーディネーターだ。10月26日の「土曜」には、神奈川・日産スタジアムでニュージーランド代表戦を19-64で落としていた。
11月4日までに世界ランクは「14位」となった。向こうは「3位」。列強国の凄みを見せつけられた格好か。
ただしその翌日の「日曜」に、好感触があったとハットリーは後述する。
「試合に負けた後は、コーチ陣も選手も大きくがっかりした。ただ日曜の朝、お互いのことを正直に打ち明けました。ミーティングの詳細は話せないが、お互いが正直に打ち明けられた。成長すべき点をそれぞれで話し合えた。(それ以降は)うまくいったことにもフォーカスし、次に進むこともできた。いまはうまくいったポイントと直さなきゃいけない点と直すべき点にフォーカスできました」
まもなくチームは欧州遠征に出た。各国で展開のオータムネーションズシリーズへ混ざる。
次にぶつかるのはフランス代表だ。目下のランクは4位。またも格上である。
現地時間11月9日にパリ郊外サンドニのスタッド・ド・フランスでおこなわれる一戦へ、一団は準備を重ねる。件の「土曜」に得た課題を修正しながら、自軍の謳う『超速ラグビー』の出力をスコアボードへ前向きに反映させようとしている。
改めてオールブラックスことニュージーランド代表との80分を、ハットリーはこう語る。
「修正エリアは前半20~40分。その時間帯だけは0-29でした。タフな時間帯でどう修正するか、どう持ち直すかという点を修正しています」
劣勢の時間帯を減らす。「言うは易く行うは難し」の風情を醸す。このテーマに沿って戦うべく、首脳陣は練習のプログラムを見直しているようだ。
走り込みと実戦形式トレーニングを交互にして、「疲労が高い状態でも集中力が高くできるか」にチャレンジ。心身に負荷がかかる中でも互いに連携を図り、それぞれが目指すプレーモデルに立ち返るのを目指す。
昨年のワールドカップフランス大会からスタッフとスコッドを大きく入れ替えたナショナルチームにあって、ハットリーはこのように続ける。
「練習中からタフな時間帯、シチュエーションを何度も繰り返し、経験させました。コーチが介入するより、選手の責任でそれらをどう修正するかについて取り組んできた。とてもとても若いチーム。1週間で改善するのは難しいですが、トレーニング中も、オフ・ザ・ピッチでもそうしたことを考えてきました」
進歩を強調するグループに、強力な援軍が加わった。今季から現地プロリーグのトゥールーズでプレーする齋藤直人、同ボルドーに加入して2年目のテビタ・タタフが合流。当日はそれぞれ9、20番をつける。
後半途中から投じられそうなタタフは「まずは、ジャパンに戻って来られて本当にうれしいです。ジャージィを着て試合に出るのは楽しみです」と意気込む。
「フィジカルのところでしっかり身体を張って、トライに繋げるようなプレーをしていきたいです」
昨秋のワールドカップ時もメンバー入りに近づいた突破役は、今回、今年7月以来の代表帯同となる。キャンプでは、相手チームの選手の特徴を味方にレクチャーしているという。
重圧のかかる本番で力を出し切る。
「いままでやってきたことをしっかりレビュー。そして集中して試合に出る。あまり考えすぎないようにして、試合に出て、やるだけです」