11月9日、スタッド・ド・フランセで開催される「リポビタンDツアー2024」日本代表対フランス代表戦に12番で先発するシオサイア・フィフィタ。チームは試合2日前の7日、パリ市内にある国立スポーツ総合施設「INSEP」グラウンドで最終調整を行った。練習後の取材対応で終始目を輝かせ、試合に出られる嬉しさを全身にみなぎらせていた。
フィフィタは春夏のスコッドに入っていたが、負傷で途中離脱。ジャパンのジャージーに袖を通すのは、昨年10月、W杯予選最終戦のアルゼンチン戦以来だ。
ジェイミー・ジョセフ前HC時代は主にWTBで起用されていたが、新たに体制が代わり、「これからは慣れた12番でジャパンを目指す」と決意を新たにしていた。フィフィタがジャパンから離れている間、12番を着ていたのは新たにトヨタのチームメートにもなったニコラス・マッカラン。
「ニックはバランスのとれた選手。スキルも高い。僕はケガとかもあったので、まずケガを治していかないと、と思ってました。やっといまコンディショニングもばっちりになった。楽しみです」
厳しい競争を勝ち抜いた。この遠征で、体重も105㌔から101㌔に絞り、動きもシャープに。ジョーンズHCからは「ボールキャリーと相手を仰向けに倒すタックルにフォーカスして」と指令を受け、現地に到着してから磨いてきた。
ジョーンズHCもメンバー発表会見で「彼は再合流してからクオリティの高い練習を続けている。パススキルもある。彼の12番としての輝かしいキャリアが始まる」と期待する。
フランス戦には以前から特別な思いがあった。7月末に父親になったが、「この試合には絶対出たい」と、ずいぶん前から家族の航空券を手配。自分へのモチベーションとしていた。
嬉しいことは、さらに続いた。今回、招集された天理大OB5人が全員メンバー入りしたのだ。
SO立川理道主将を筆頭にNO8ファウルア・マキシ、SH藤原忍、リザーブにはSO松永拓朗。藤原と松永は大学選手権で初優勝を達成した同期だ。立川主将とフィフィタは9学年違い。ジョーンズHCも「ハル(立川)が切り開いてくれた道に、彼らが続いてくれた」と、後輩たちに信頼を寄せる。
大学で彼らを育てた天理大・小松節夫監督は若き日、パリにあるラシンクラブに留学し、フランスラグビーを体験した。長い時を経て、教え子が揃ってスタッド・ド・フランセの芝に立つ。「不思議な縁ですよね」と立川主将。
「(天理大の)皆とは食事に行っているんですが、全員での天理会はハルさんが忙しくて、まだできなくて」とフィフィタ。
今回の滞在中、全員揃って祝杯をあげたい。