第104回全国高校大会の出場校を決める三重県予選決勝が11月3日におこなわれ、朝明と四日市工は26-26で引き分けた。
互いに4トライ、3ゴールだったため抽選に。花園出場権は朝明が手にした。
朝明はこれで13大会連続15回目の出場となった。
両校優勝は1983年に木本と志摩が4-4の同点で終えて以来、41年ぶり(両校は1982年にも16-16で引き分けている)。
四日市工は初優勝を飾った。
決勝は8大会連続で同じカード。例年と違ったのは、四日市工が春の新人戦と夏の7人制大会で初めて朝明を破っていたことだ。
県総体こそ31-26で朝明が制したが、四日市工は春夏で得た自信をそのまま序盤からぶつけた。
スコアボードはなかなか動かなかったが、四日市工が攻守で会場を沸かせる。
ペナルティを重ねてたびたび自陣への侵入を許した場面では、SO京塚遥輝のジャッカルなど粘り強く守り、WTB上村純大主将のロングキックで抜け出した。
前半16分の先制トライも、WTB井改ことらのタックルで得た自陣深くでのスクラムから奪った。
ゴールラインを背にしながらWTB上村が左から右に大きく動いて仕掛ける。CTB山中陸が一気に敵陣深くまで抜け出し、最後はFB宮﨑奏斗がインゴールに入った。
直後にもピンチを背負ったが、再びSO京塚のタックルからWTB上村がジャッカルを決める。
まもなく、準備したサインプレーで内返しのパスを受けた上村が抜け出した(14-0/26分)。
前半終了間際にもラインアウトからのアタックでFB宮﨑がグリーンブレイク、WTB上村とSO京塚で左タッチライン際を攻略した。
セットプレーからのアタックがハマった四日市工は、19-0で迎えた後半開始早々にもラインアウトから崩す。
CTB山中が突破し、26-0までリードを広げた。
朝明としては気落ちしてもおかしくない手痛い失トライだったが、その2分後にFL中西健が複数人を弾いてインゴールに入ると、息を吹き返す。
徐々に接点で前に出られるシーンも増え、11分にはFL前田優人の突破を起点にラインアウトモールを押し込む。
18分には再びFL前田のゲインで敵陣に入り、モールで19-26と7点差まで迫った。
四日市工はWTB上村やCTB山中のランでたびたびチャンスを作ったが、ラインアウトでのミスなどで好機をものにできず。次第に疲れと焦りが見え始めた。
朝明は23分に自陣からモメンタムを失うことなく攻め続け、NO8伊藤魁人主将がねじ込む。コンバージョンも決まり、ついに26-26と同点に追いついた。
その後もゴール前まで攻め込んだが、逆転のスコアだけは奪えず。34分を経過したところで、近藤雅喜レフリーが試合終了の笛を鳴らした。
第100回大会以来、4年ぶりの花園出場とはならなかった四日市工。抽選のくじを引いたWTB上村主将は、しばらく立ち上がれなかった。
同主将の背中をさすった渡邊翔監督は、「前半の流れからゲームをコントロールできると感じていました。ただ、1本取られた時に心の切り替えがうまくいかないまま浮き足立ってしまった。県総体と同じような展開になってしまいました」と肩を落とした。
「負けてないのに負けたというか…。二度と抽選は味わいたくないです」と複雑な心境を吐露した。
朝明の保地直人監督は0-26から追い上げた選手たちを称えつつ、相手チームも気遣った。
「同点優勝は初めてです。四工(よんこう)の子たちもよく知っているメンバーですし、彼らの分もしっかり努力して花園でベストなゲームをしたいと思っています」
両校優勝は今季2校目。北北海道では遠軽と旭川・空知合同が引き分け、抽選で遠軽が花園出場権を得ていた。
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