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矢崎由高のオールブラックス戦。「前を向いてもう一度レベルアップするしかない」

2024.11.01

矢崎由高はダミアン・マッケンジーのタックルでトライを阻まれた場面を「あれが今の自分の現状」と振り返った(撮影:イワモトアキト)

 10月26日、日本代表はニュージーランド代表と対戦し、10トライを奪われて19-64と完敗を喫した。

 FBとして80分間フル出場した矢崎由高は、グラウンドを縦横無尽に動きまわった。攻撃の局面では常にサポートに走ってボールに絡み、自らもラインブレイク。何度もタックルをした。
 後半26分には、タッチライン際を駆け上がり、CTBディラン・ライリーからのパスを受けて、ゴールライン際まで迫る場面もあった。

 だが、矢崎がこの試合で感じたのは、世界の壁の高さと自身への課題のみだった。
 試合後のメディア取材に応じて、悔しさを滲ませながら語った言葉を一問一答形式で紹介する。

――トライまで惜しいところがありました。(後半26分、パスを受けて走った場面で、ゴール目前に相手SOダミアン・マッケンジーにタックルされボールを奪われた)

「どうすればよかったのかということは、映像を見てもう一度考えようと思っていますが、やはり世界の壁は高かったというか。あの場面で取り切れないというのが今の自分の現状なのだとすごく痛感しました。でも、これはもう終わってしまったこと。今からトライになるわけでもないですし、これから前を向いてもう一度レベルアップするしかありません」

「次に同じ状況が来たときには必ず取り切れるように。そういった選手になっていかないと、ジャパンで僕の生きる道はないのかなと思っています」

――試合が終わったあと膝を折って下を向いていました。どんなことを思っていましたか。

「単純に(大差のついた数字が並んだ)スコアボードを見て世界との差を感じて、自分としても、チームに及ぼすことができた影響というのはすごく少なかった。そこの悔しさなどが色々巡ってきて、そういうことを色々考えていました」

――タックルで止めにいっても相手が強くてはじかれてしまうこともありました。その部分はどう感じていますか。

「フィジカルの差というのもありますが、ジャパンとしても、もっと組織的にディフェンスをしていかないといけない部分もたくさんあったので、そういったところが課題で見つかったと感じています」

――相手のアタックでの判断のスピードだとか展開のスピードなど、スピートの差は感じましたか。

「もちろん(相手が)速かったと思います。 逆にあのスピードに勝るぐらいジャパンもやっていかないと、次に対戦したときも同じ結果になるのかなと思いました」

――(前半20分、ジャパンの)トライキャンセル直後、相手がセンタースクラムから右に展開してトライを挙げた場面について、あの部分のディフェンスはBKとして難しさがありますか。

「もちろん相手には(攻撃手段として)たくさんの要素がありました。左足のキッカーもいて、 走るランナーもいて。もう1度同じ状況が出てきたら、また少し僕たちの立ち位置も変わったかもしれないですが、あの場面で止めきれないのが今の日本なのだと思います。選手同士のコミュニケーションを含めて、ディフェンスにも課題はあると感じています」

――自分自身のプレーで通用した部分はありますか。タックルにもよくいっていたと思うのですが。

「その質問がくるだろうなと思い、考えたのですがすごく難しくて。結局あそこでトライを取りきれなかったという部分で、果たして「スピードが通用した」と言い切れるのかどうかも怪しいですし。もちろんフィジカルなんて本当に足元にも及ばないぐらいで、まだまだ変えられると思いますし。現時点では、なんですかね…ここは胸を張って通用したって言える部分は(まったく)ないわけではないですが、少ないというか、それが今の自分の現状ですし、これからの自分の伸びしろだと思っています」

――少し前まで大学のフィールドでプレーしていて、テストマッチでプレーをするということについて、それぞれ全然、感触や感覚が違うと思うのですが、難しさはありましたか。

「特に難しさを感じたことはないです。そもそもこの日本代表に合流するというのは前々から決まっていたことですし、ここに向けて自分のマインドの部分でも準備をしていました」

――試合を通してのチーム全体のメンタルの安定感をエディー・ジョーンズHCが課題としてあげていました。その部分について、どう考えていますか。

「そうですね。前半20分までは点差も内容としてもよかったのですが、やはり(前半20分に)トライキャンセルされ、直後に相手にきれいにトライを取られて、そこからジャパンのマインドというかエナジーの部分がすごくダウンしたように感じました。僕がそこのコントロールをできる選手になっていかないといけないですし、チームとしてもそこでくらいつくようになっていかないと、これから対戦するティア1の国には勝てないのではないかと思います」

――あの時間帯は選手間ではどのようなコミュニケーションを取っていたのですか。

「今日のチームの課題というかテーマとして、ジャパンらしくプレーしようということと、『ゴールドエフォート』というものがありました。これはハードワークのことを指すのですが、1人3回以上『ゴールドエフォート』をしようというのをテーマにあげていたので、 それについて念入りに話し合ったのと、あとは純粋に、今のプレーはこう改善した方がよいということについて、コンパクトに話をしました」

――ご自身としてはその課題(ゴールドエフォート)はどのくらいできましたか。

「実際に顔を出せる場面はもっとあったと思いますが、そういった局面でのボールタッチが少なかったです。やはりもっとボールに絡んでいかないと『ゴールドエフォート』にはならないと思っています。いかに自分でチャンスメイクをできるか、ということを考え続けながらプレーをしないといけないと感じました」

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