9月22日に開幕した関西大学Aリーグは、10月20日までに4節を終えた。
ここまでは昨季の上位4校と下位4校が対戦、第2節で昨季6位の関西大が4位の近大を破った試合以外は昨季と力関係が変わっていない状況となっている。
京産大、天理大、関西学院大が全勝をキープした。
リーグ4連覇を狙う京産大と、2位につける天理大が全試合でボーナスポイントを獲得して勝ち点20とし、同18の関西学院大が「2」差で3位につけている。
ここまでの戦いぶりを見れば、京産大が頭ひとつ抜けた存在と見ていいだろう。
4試合とも完封勝利とはいかないものの、開幕戦から97-24同志社大、67-28摂南大、69-19関西大、47-12立命館大と大差をつけた。失点は勝負のついた終盤がほとんどで、摂南大戦以外は前半の時点でスコアを大きく離していた。
廣瀬佳司監督は「相手や点差に関係なく自分たちのやりたいことができたかどうかにこだわっている」とあくまで目標は日本一であることを強調。「そういう意味ではまだできていない時間帯が多いです。まだまだ強くなれる」と話した。
関西春季トーナメントは4位とふるわなかった天理大は、秋の序盤戦も摂南大に辛勝し、同志社大にも後半途中までリードを許すなど苦戦していたが、3戦目の立命館大戦で復調した。
上ノ坊駿介をSO、筒口允之主将をFBに配置換えしたことが功を奏した。互いの強みがより活きたことでキック合戦に安定感が生まれ、アタックはよりスピーディーになった。
昨季、全国4強入りの原動力となったスクラムにより力強さが増せば、全国でも上位を狙えるだろう。
勝ち点16で3位の関西学院大は、第2節の立命館大戦で26-22、第4節の摂南大戦で42-38で辛くも勝利。
小樋山樹監督は「反省点はいろいろある」としながら、「しんどいゲームを勝ち切って、反省して次に行けるのは(チーム目標の)全国ベスト4に向けては必要になる」と前を向いた。
全国大学選手権に進めるのは上位3校。上記3チームにチャレンジする権利があるのは、あと4位の近大だけだ。
近大は第2節・関西大戦の敗戦を「自分たちを見つめ直す機会になった」(FL中村志主将)と前向きに昇華した。
以降は復調し、4試合すべてでBPを得る。3位・関西学大との勝ち点差を「2」まで詰めている。
関西大戦では後半の序盤までに20点差をつけながらの逆転負けだった。
敗因はペナルティの多さだったが、次節の摂南大戦では後半にかけてその課題を修正し、4節の同志社大戦では堅守を披露。攻めては主戦の両CTBをケガで欠きながら今季チーム最多の10トライを挙げた。
初の関西制覇に向けて「(関西大戦以降は)背水の陣で臨んでいる」と語った神本健司監督は、「少しずつ成長している」と評価した。
3位・関西学大と4位・近大が激突するのは最終節(11月30日)。選手権争いは最後までもつれるかもしれない。
昨季の下位勢である関西大、摂南大、立命館大、同志社大は、大学選手権出場の可能性がすでに消滅した。下位2チームが進むBリーグとの入替戦回避を争う。
5位の関西大は近大に勝利して1勝3敗で折り返したが、勝ち点は4にとどまった。
3位に入るには最低でも勝ち点20が必要(関西学院大と近大の直接対決が残っているため、どちらかは最低でも勝ち点20以上になる)。
3試合すべてでボーナスポイント付きの勝利を収めても、勝ち点は19までしか積み上がらないため、関西大の選手権出場は叶わぬ目標となった。
2015年以来の4位を目指す道のりも、簡単ではない。春に敗れた立命館大との対戦も最終節に控える中、まずは上位勢にも通用したアタック力を有する摂南大と11月10日(第5節)にぶつかる。
CTB石川海翔主将は「(摂南大の)アタッキングラグビーに対して自分たちがいかに規律高くディフェンスできるかが勝負になる。(次節までの)3週間でしっかり準備したい」と語っていた。
下位に沈む3校、摂南大、立命館大、同志社大は初めの4戦でいずれも全敗に終わった。下位2チームが進むBリーグとの入替戦回避を争う。
この3校の中で、好ゲームを続けていながら勝ち星に恵まれなかったのが摂南大だ。ヴィリアミ・サポイ主将をケガで欠く中での健闘である。
自陣からでも積極的にパスを繋いでいくアグレッシブなアタッキングラグビーはどのチームにとっても脅威だったが、スコア前のミスも多かった。
開幕戦で天理大に7-22と迫り、28-67で敗れた京産大戦では相手校の今秋の最多失点を記録させた。
近大戦でも後半途中まで勝敗の分からない試合を演じ、関西学院大戦では終盤に脅威の追い上げを見せてボーナスポイントを獲得した(38-42)。
4試合目を終えた瀬川智広監督は「望む結果とはならなかったが、残り3戦に活きる試合ができた」と話していた。
9年ぶりの入替戦回避を目指す(2020年度は入替戦実施せず)。
立命館大も、第2節に関西学院大をあと一歩まで追い詰める接戦(22-26)を演じた試合もあったが、苦しい前半戦となった。
春から課題のスクラムを強化し、その成果は見せていたが、今度は得点力不足に悩んだ。
京産大との第4節では勝負のついた終盤にようやく2トライを奪取。
「前半からエンジンをかけられなかった。自分の中では京産大のディフェンスのプレッシャーは想定内だったが、経験の少ないメンバーに良い声かけができなかった」と共同主将のSO山下真之介は悔やんだ。
2校が勝ち点1を得ているのに対して、勝ち点0で昨季に続き最下位に沈むのが同志社大だ。
第2節の天理大戦では後半の途中まで3点差まで迫っていたが、リードを広げられるとそれまでの緊張の糸が切れたように連続トライを許した。
テンポ良く球出しできれば流れるようなアタックを披露できる。しかし、その起点となるブレイクダウンで差し込まれるシーンが多く、一度受けに回るとエラーを重ねていた。
開幕節以降出場のないLO寺北亘佑主将に代わり、ゲーム主将を務めるSO村岡麟太朗は「残り3試合、死に物狂いで勝ちにいく。全員で来年に繋がるラグビーをしていきたい」と失意の中で語っていた。
一矢報いることができるか。