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「自分が流れを変えないと」。関東学大の丸尾瞬、決意のコンタクトで光る。

2024.10.26

10月13日に大東大戦に出場した関東学大の丸尾瞬(撮影:舛元清香)

 タックラーの懐を突き破るような突進とタックル。獲物を射る眼。丸尾瞬が爪痕を残す。

「自分が流れを変えないとだめだと思っている。勝つためには流れを変えるプレーヤーが必要で、それに自分がならないと、という意識からです」

 身長175センチ、体重98キロと小柄も、勝負の肝となるコンタクト合戦で存在感を示す。前に出られる。所属する関東学大ラグビー部では、2年生にしてFWリーダーである。

 今季昇格した関東大学リーグ戦1部ではここまで全敗も、徐々に進歩を実感する。

 10月13日には、それまで全勝の大東大に40-47と応戦した。

 会場のギオンアスリートパークは、自分たちが普段通う神奈川県内のキャンパスにあった。スタンドでは控え部員が拍手喝采。仲間の応援を背に、NO8で先発の丸尾は杭を打った。

 もっとも当の本人は、向こうの粘りで得点機を逃したのを悔やんだ。

「大事なところで(スコアを)獲り切れなくて、勝ちに繋がらなかったかなと。逃げずに真っ向からがつがつ行っていれば(結果は)変わったかなと…」

 小学1年で楕円球と出会った。岡山ラグビースクール、岡山ジュニアラグビースクールに在籍した。

 希少な体験ができたのは高校時代。倉敷高へ進んでからだ。監督は梅本勝氏。1990年代から複数の高校を全国大会へ導いてきた名物指導者は、学生たちが「ヤー!」と叫んで飛び出す激しい防御を落とし込む。同時に「文武両道」を実現すべく、朝のトレーニングとその前の自習を勧めた。

 丸尾は、難関大合格を目指す仲間がいつも「2時50分」に起きていたと述懐。自らも「(起床時間は)毎朝4時50分とか、その辺です。5時半から練習なので」といった暮らしぶりだった。全国のどのラグビーマンとも異なる日常を過ごしていたと自覚する。

「凄い環境で生活していたのは、プラスになります。それが、うちの高校の強みだと思っていました」

 特殊性は人事にも見られた。チームでは2年生が主将を務め、前主将ら3年生がそのリーダーを支える文化があった。

 丸尾は2年目の2021年度に主将となった。それは、創部3年目で初の全国大会出場を果たしたシーズンだった。

 クラブの留学生第一号であるラリー・ティポアイールーテルとともに、高校シーンの聖地と言われる東大阪市花園ラグビー場を沸かせた。丸尾が関東学大を選んだ理由のひとつは、ラリーが先に進んでいたことだ。

「僕は2期生。試合もやれるのかわからない状況から単独(チーム)で組めるようになって、2年目に主将として花園(全国大会)にも出られた。人間的にもラグビーでも成長できた。上級生がいるなかでチームをまとめることにはストレスもかかることもありましたが、それは上のステージに行ったら通用すること(経験)だと思っていたので『自分のために…』と。自分が2年の時にやったことを(3年目には)次の主将に伝え、サポート。(発言を)補足したり、練習メニューを提示したり…。この2年間が大きかったです」

 関東学大は黄金期を有する。1997年度からの10シーズンで6度の大学日本一を達成。その間にフィールドに立った選手の一部は、いまの指導陣へ入っている。

 そのレジェンドたちが、それぞれの観方で丸尾のポテンシャルを推す。そのうちひとりは、現リーグワンのクラブへも是非チェックして欲しいと訴える。

 当の本人は「試合を追うごとによくなっている」と、いまのシーズンに集中する。まず望むのはシーズン初勝利か。10月27日、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で東洋大へ挑む。

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