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「カルチャーを築き上げている」。日本代表が成長中のスクラムで、NZ史上最重量クラスのFWパックに挑む。

2024.10.25

日本代表FWは横浜Eや浦安DRとの合同練習でスクラムを組み込んだ(撮影:福地和男)

 10月26日に日産スタジアムで対戦する、日本代表とニュージーランド代表のメンバー表を見比べると、まず両プロップの体格差が目に留まるだろう。

 オールブラックスの両プロップ、タマティ・ウィリアムズとパシリオ・トシは、ともに190センチ越え。体重はなんと140キロだ。

 これに対し、日本代表の左プロップ、岡部崇人は180センチ、105キロ。右プロップの竹内柊平は183センチ、115キロ。特に体重には大きな差がある。

 エディー・ジョーンズHCの右腕であるニール・ハットリー コーチングコーディネーターは、これを踏まえて言った。

「相手はセットピースで仕掛けてくるでしょうから、この試合におけるセットピースの重要性は十分に理解しています。今週はそこに対して特に集中して取り組んできました」

 2週前から再開された代表活動では初め、FWとBKがそれぞれ東京と宮崎に分かれてキャンプを張った。
 東京組のFW陣は、浦安D-Rocksや横浜キヤノンイーグルスとの合同練習を組み、そこでスクラム、ラインアウトの実践練習をおこなっていた。

 ハットリーコーチは続ける。
「今回のオールブラックスはチーム史上一番重いパックと言ってもいいほど、すごく大きなパックです。ですが、自分たちも十分、サイズのあるチームだと思っています。初めてオペティ(ヘル/控え右PR)がメンバー入りしたり、姫野(和樹/7番)が代表に戻ってきた。すごく勢いのあるチームだと感じています」

 キャップ数が2桁に満たない選手が多い若いスコッドにあって、エディー・ジャパンとなってから大きな成長を見せている領域のひとつがスクラムだ。
 ハットリーコーチもそれを実感している。

「イングランド戦ですごく良いスクラムを組めましたし、マオリ・オールブラックス戦では相手をひっくり返すこともできました。まだまだ成長するところはありますが、とても良い方向に向かっています」

 成長の要因について、主に二つあると述べた。
「オーウェン・フランクス(アシスタントコーチ/元NZ代表・右PR)がチームに加わり、素晴らしい仕事をしてくれています。また竹内や為房(慶次朗)、岡部といった若いプロップがすごくハードワークしてくれている。スクラムのカルチャーをどんどん築き上げています。
 自分たちのスクラムはただ耐えるものではありません。ジャパンの武器となれるよう、前に出ていく。それが自分たちのスクラムのカルチャーになってきています」

 コーチ陣やメンバーは昨年とガラッと変わっているが、根本的な強みは変わらないという。
「長年コーチをしてきて、日本を相手に戦ったこともありますが、やはり日本の強みは低さ。明日はとても良いチャレンジ、良い学びになる機会だと感じています」

 セットプレーで押し負けず、地上戦では得意のスピードを持って重たいパックを翻弄したい。
 同コーチは「ジャパンの強みはスピード、アタックのスピードです。それをディフェンスでも活かすことが重要で、相手よりも速く動き、ボールを取り返しにいきたい」と話す。

「すごくハードなキャリーがあり、クリーンアウトでもすごくハード」と相手を警戒しつつ、対応策を語る。

「ジャパンとしてはタックルがすごく重要です。NZに限らずどの相手に対しても、特に2人目のタックラーがしっかり入ることが大事。(球際に強い)姫野らがボールを取り返す相手の脅威になることで、相手のアタックをスローダウンさせていきたいと思っています」

 過去に5度対戦して一度も勝ったことのない格上相手だが、「選手も自分自身もすごく楽しみなチャレンジ」と高まる気持ちを伝えた。

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