今年2月に日本のパスポートを得た。トンガ生まれで約9年半前からこの国にいるファカタヴァ アマトは笑う。
「もう、日本のルール、守ります!」
昨年から選出される日本代表の一員として、英語で態度を表明する。
「国籍を変えることは感情を揺さぶることのひとつでしたが、日本人になれて誇りに思います。最大限、日本を代表します」
身長195センチ、体重118キロの29歳。留学したニュージーランドのティマルボーイズ高時代には、現地でのプロ入り間近だったと言う。選んだ進路は、埼玉の大東大だった。双子の兄のタラウ侍(現登録名)とともにスカウトされ、来日した。
大学ラグビーのフィールドで強さ、速さ、しなやかさを披露し、早くからジャパン入りを期待された。
代表デビューは2023年。所属するリコーブラックラムズ東京でのパフォーマンスが評価され、当時のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる日本代表に名を連ねた。秋にはフランスでワールドカップを経験した。主戦級のLOとして、爆発力と堅実な守備で光った。
このほど約9年ぶりに復職したエディー・ジョーンズヘッドコーチのもとでも、適宜、身体と向き合いながらフィールドに立つ。
ジョーンズのジャパンでは、おもに6番のブラインドサイドFLを任される。
「(指揮官からは)『よりハードキャリー(突進)をしろ。より肩をぶつけに行け。そしてフィールド上の仕事を遂行しろ』と言われています。どこのポジションかは関係なく、自分はジャパンでプレーしたいです」
ジョセフ時代といまとの役割の違いを聞かれれば、己の職業倫理を示した。
「最終的にフィールドでどんな働きをするかは自分次第。パフォーマンスでチームに貢献することに、大きな違いは感じません」
10月26日のニュージーランド代表戦(神奈川・日産スタジアム)に向け、13日から開始のポジション別キャンプへ合流。都内で横浜キヤノンイーグルスとぶつかり合った14日の午前練習時、状態を問われればこの調子だ。
「ちょっと、言えないかもしれないです」
確かに一部のメニューは見学した。ただし、メインディッシュと見られるスクラムやラインアウトのセッションに参加していた。決意は確かだ。
「いまはとにかくコンディションを整えています。チャンスがあれば、是非(本番で)戦いたいです」
オールブラックスの異名をとるラグビー王国の代表チームとのバトルに、「どんな選手にもどこかにオールブラックスと試合をしたい気持ちがある。特別な試合です」と胸を躍らせる。