ラグビーリパブリック

昨季王者ブレイブルーパスでリーチマイケルが主将続投 代表活動はどうする?

2024.09.27

(左から)薫田真広GM、今季キャプテン続投のリーチ マイケル、トッド・ブラックアダーHC(提供:東芝ブレイブルーパス東京)

 東芝ブレイブルーパス東京が練習をメディアに公開したのは9月22日。都内の工場敷地内のグラウンドに、報道陣を集めた。

 今年5月までの国内リーグワンで14季ぶりの日本一に輝き、連覇が期待される中、2019年就任のトッド・ブラックアダーヘッドコーチはこのように言う。

「後ろを振り返ることで得られるものって、首が凝ることしかないと思うんですね。もちろん優勝できて嬉しいですが、いまは前に歩みを進めている実感です。私たちは若いチームですが、頂点に立ったことで得られる自信、多少の余裕、自分はこういうプレーをしていいんだというポジティブな信念を掴めました。また『防衛するシーズン』『王者』という言葉を使っている選手はひとりもいない。日々、目の前にある練習ドリルを全力でやっています」

 ブラックアダーのもとで森田佳寿コーチングコーディネーターが攻撃戦術を編む流れは、以前までと同じだ。前年度までのコーチ陣では他に、前に出る防御を構築したタイ・リーバらも留任した。

 一貫性を重んじながら、ブラッシュアップを怠らない。

 新任はイタリアで実績を積んだジョシュア・シムズFWコーチ、7人制でキャリアのあるユアン・マッキントッシュBKコーチなど。指揮官は、組織の進歩を実感する。

「選手へ各コーチが非常にシンプルでクリアなメッセージが発している。ミーティングへの準備でも大きな成長が見られる」

 いまは鍛錬期にある。6月からの日本代表活動に長らく参加する選手は、このタイミングでは個別調整となるのが一般的だ。

 ところが今年ジャパンに初めて選ばれ、非テストマッチではゲーム主将も託されたHOの原田衛は、FWがユニットで動くのを赤いウェア姿で見学していた。ブラックアダーによると、翌週以降はフル参加を希望しているようだ。

 日本代表は10月中旬以降、同月のニュージーランド代表戦などに向け再始動の予定。引き続きの選出が期待される原田の申し出に、元ニュージーランド代表主将のボスはこう応じたという。

「もし楽しくラグビーできると思うのなら、ここは君のチームなんだから入ったらいい」

スクラム練習では、1対1、3対3、5対5…と段階を踏んで組み、すべてを映像で細かくチェックしながら進めていた(撮影:編集部)

 全体トレーニングが終わる頃、ひとりの名物戦士がグラウンドに出てきた。

リーチ マイケルだ。

 日本代表としてワールドカップに4度出場した戦士は今年も代表に選ばれ、6、7月のキャンペーンでは主将を担っていた。

 その後は痛めていた左肩の治療に専念。8月下旬以降のパシフィックネーションズカップへは不参加となっていた。

 この午後は日本代表のジョン・プライヤーハイパフォーマンスコーディネーターから託されたスピード強化のメニューに取り組み、復調を目指していた。

 いつ競技に復帰できるのかと聞かれれば、「全然、いつでもできます。明日でも」と即答した。

 10月以降の代表活動へ参加するかについては「まだわからない」と述べながら、ニュージーランド代表戦への出場意欲は「120パーセント」。選手選考はエディー・ジョーンズヘッドコーチの専権事項とあり、明言は避けたような。

 明らかになったことは重役の続投。前年度に続き、リーチ、原田がブレイブルーパスの主将と副将を務める。

 8月上旬にチームに戻っていたリーチへ「来季、どうする?」と打診したブラックアダーは、リーチがポジティブに返事をしてくれたのだと喜ぶ。

「こちらから頼む前に、向こうからやらせてくれと言ってくれました。彼は周りに人が集まる(ところが魅力)」

 本人はあくまで「(前年度からの)引き続き」。自然体だ。

「(全体への訓示は)日本代表に選ばれたらその(秋の活動の)後。選ばれなかったら(まもなく)」

 頂点に立ったシーズンにも、故障で抜けて戻るまでの間にもっとチーム活動へ携わるべきだったのではと反省している。改善したい。

「もっと、チームを見るところを進化させたい。コーチ陣とのコミュニケーションも長く持つ。特に、試合に出ていない時にどれだけコミットできるか。(前年度は)チームから離れた時、(副将の)衛に任せっぱなしだったから。(これからは戦線離脱中も)早くリハビリを終わらせて、できるだけ(味方が練習をしている)グラウンドへ立ちたいです」

 一昨季にクラブ史上初の王者となったクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、前年度序盤に黒星を重ねた。最後は、それまで3シーズン続けていた4強入りを逃した。この背景を踏まえ、リーチは「今年は違う難しさがある。しっかりやりたいです」と気を引き締める。

 前向きでもある。

「驚いたのは、(オフ明けの)選手がいいコンディションで帰ってきたこと。外国人選手も、日本人選手も、身体がでかくなっていた」

 ライバルチームのSNSはよくチェックする。特に本拠地の近い東京サントリーサンゴリアスが、早くから身体をぶつけ合っているのには刺激を受ける。

 サンゴリアスでは、コーチだった小野晃征が指揮官に昇格した。リーチは小野の1学年下で、「家が近くて、よく行く焼肉屋も一緒」。かつてはともに日本代表として戦っている。

「晃征すごくいい選手だったし、ヘッドコーチとしていいチームを作り上げると思う」

 通称「府中ダービー」がより楽しみになった。

リッチー・モウンガ、ユアン・マッキントッシュBKコーチがディフェンス側に立ち、アタック練習をするBK陣。モウンガ(緑3番ビブス)が細かく指示を出していた(撮影:編集部)
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