[東洋大学(昨季関東大学リーグ戦1部 5位)]
一昨年は29年ぶりの1部昇格でリーグ戦3位に躍進。創部64年目にして初の大学選手権出場を果たし、“東洋旋風”を巻き起こした。しかし昨シーズンは勝てば選手権出場という最終節の日大戦で、有利を伝えられながら競り負けてリーグ戦5位。まさかの結末に、1部リーグの厳しさを味わった。
昨季までは、福永昇三監督が「一戦必勝。開幕から飛ばせるだけ飛ばした」と表現するように、1部の強豪校に無我夢中で食らいついた。3季目となる今シーズンは挑戦者という立場こそ変わらないものの、シーズンを通して戦える集団を目指し、春から先を見据えてじっくり強化に取り組んだ。
その柱の一つが上位チームに負けない体づくりだ。これまでのシーズンにも増して基礎体力トレーニングにチームで取り組み、PR笠巻晴太主将(4年)は「トレーニングだけでなく、食事の摂り方も変わってきた」とメンバーの意識改革に手ごたえを感じている。
春季交流大会Bリーグでは、昨シーズンの反省からパニックにならず、心身ともに粘り強く戦い抜くことを意識して試合に臨んだ。慶大と筑波大に敗れたものの大崩れはせず、昨シーズンに苦杯をなめさせられた日大戦では、競った展開を終盤に抜け出して制し、チームの成長を感じさせた。
昨季のメンバーが多く残っているのは間違いなく強みだ。FL森山海宇オスティン③は指揮官が「急成長を遂げている」と評する注目株。さらに「秋には1、2年生も出てくると思う」と新戦力の台頭にも期待は膨らむ。
BKもスピードが自慢のWTBモリース・マークス(4年)、ボンド洋平(4年)、FB坂本琥珀(2年)のバックスリーを筆頭に駒はそろう。戦力でいえば昨年を上回るチームと言えそうだ。
今季のスローガンは「ルーツ」。「おそらく10か国以上」(福永監督)という多様なルーツを持つ戦士たちが、目標の「日本一」に向かって一丸となる。
(文:渋谷 淳)
※ラグビーマガジン10月号(8月23日発売)の「主要3リーグ各校戦力分析」を再編集し掲載。掲載情報は8月18日時点。
<夏季練習試合 結果>※Aチーム戦のみ
8月18日 vs法大○59-33
8月24日 vs専修大○43-21