先発15人中13人が日本人選手という布陣で、大仕事をやってのけた。
マオリ・オールブラックスの日本ツアー第2戦が7月6日に豊田スタジアムで行われ、日本代表の若手メンバーを主体とするJAPAN XVが26-14で勝利を収めた。
10-36で敗れた7日前の第1戦に続き、この日も先にスコアを挙げたのはJAPAN XVだった。前半9分過ぎ、FB矢崎由高の防御ライン裏へのキックから相手陣22メートル線内に攻め込み、ペナルティを得るやSH齋藤直人がすかさず速攻。左タッチライン際でパスを受けたCTBサミソニ・トゥアがコーナーに飛び込んで5点を刻む。
第1戦は先制した後に複数の好機を逃し、次第に勢いを失ったJAPAN XVだったが、この日は違った。とりわけ目を引いたのはディフェンスでの奮闘だ。
下川甲嗣、山本凱の両FLを筆頭に鋭い出足でプレッシャーをかけ、厳しく体を当て続けて相手を押し戻す。猛然と走り込むマオリのアタックに怯むことなく食い込み、何度もエラーや反則を誘発した。
優勢にゲームを進めるJAPAN XVは、21分にも相手の不用意なペナルティからSO山沢拓也が落ち着いてPGを成功。10-0とリードを広げる。
マオリもここから気迫を前面に押し出してたたみかけるが、JAPAN XVのディフェンスは崩れない。ひたむきなタックルと懸命のカバーリングで守り勝つシーンが続き、36分過ぎにはPR竹内柊平がシンビンで一時退場となる中、ゴールラインを背負うピンチを堂々と守りきる。そのまま10-0で前半を折り返した。
後半。そこまで攻めあぐねる場面が目立ったマオリは開始早々に効果的なキックからゴール前へ攻め込み、マイボールラインアウトのチャンスを得る。シンビンでJAPAN XVがひとり少ない優位を生かしてモールを押しきり、7点を返す。
しかしJAPAN XVもすかさず反撃。10分にSO山沢のPGで3点を加えると、12分には相手の足が止まり始めたところでFB矢崎のキックカウンターを起点に攻め立て、テンポよく連続攻撃を仕掛ける。最後はPR竹内がラックサイドを割って右中間へダイブし、18-7とふたたび引き離した。
マオリもここで意地を見せ、26分に狙いすましたタッチキックから5メートルラインを獲得すると、力強くモールをドライブ。HOタイロン・トンプソンがコーナーになだれ込み、14-18と追い上げる。
それでもこの日のJAPAN XVの勝利への意志は揺るがなかった。31分、マオリのPRベネット・クメロアがラックでの危険なプレーでシンビンとなると、このペナルティからFB矢崎がPGを成功。21-14と7点差にリードを広げる。
試合を決めるシーンが訪れたのは、その5分後だった。完全に足が止まったマオリに対し、JAPAN XVはさらにギアを上げて連続展開を仕掛け、ペナルティを獲得。ラインアウトからそれまで再三フィニッシュを阻まれてきたモールをついに仕留めきり、途中出場のHO佐藤健次が右中間に押さえて歓喜の咆哮をあげる。
ワンチャンスでは追いつけない点差となり余裕が生まれた日本代表は、久々に桜のエンブレムをつけてのプレーとなったSO立川理道を軸に落ち着いたゲームメイクで残り時間を進める。そのまま26-14でフルタイムを迎え、通算5度目の対戦でマオリ・オールブラックスから歴史的初白星を手にした。