6月におこなわれた日本代表の宮崎合宿で、エディー・ジョーンズHCから指令を受けた。
「テストマッチボディーを作れ」
2023年のW杯フランス大会を経験した25歳の下川甲嗣が、肉体改造に取り組んでいる。
身長188センチ、体重105キロの体躯。FLとLOを兼ねる。
「インターナショナルレベルのバックローに求められるフィジカルやワークレートなど全部ひっくるめて、自分の土台をもう一度強くしたいと思っています。(宮崎)合宿では、ラグビーはもちろんたくさんやりますけど、そういう基礎のところをチームとしても多く取り組んでいます」
2021年3月に早大を卒業し、同年の4月にはサントリーサンゴリアス(現・東京SG)で早くもトップリーグデビュー。翌年の秋に国立競技場でおこなわれたニュージーランド代表戦で初キャップを獲得、ここまで5試合に出場した。
テストマッチを重ねる中でも、エディーHCに指摘された課題を痛感していた。
「ワールドカップの前と後で比べると体組成は変わっていますが、まだまだインターナショナルで活躍する、通用するレベルではないと思っています」
筋力量を増やしながら、ワークレートも高めていく。簡単ではない挑戦に、下川自身も「壁にぶち当たっている感じ」と体感を話す。
「やり続けるしかないと思っています」
2027年のW杯オーストラリア大会に関する問いには、「遠いところざかり見ても僕個人としてはいけないと思っている」と答える。
「目の前のことを毎日、毎日、全力で取り組むことで得られるものがあると思っています」
取材に応じたのは、宮崎合宿が始まって1週間近く経った時だ。「ハードで充実した合宿です」と表情を崩す。
「(指揮官も変わり)まったく新しいチャレンジになる。超速ラグビーはただラグビーのスピードが速いだけでなく、判断のスピードが求められる。そこに難しさを感じます」
向上していくには「グラウンド以外の勉強がすごく大事」という。
「グラウンド来るまでにしっかりと予習して、イメージする。部屋に戻ったら復習する。(覚えなければいけない)情報量も僕としては結構多くて大変(笑)。でもそこも、自分の挑戦だと思っています」
6月29日のマオリ・オールブラックス戦には、JAPAN XVの背番号6で先発する。
肉体改造にも挑みつつ、グラウンドでは自分の強みを出したい。
「フィジカルでは日本代表の同じポジションの選手の中で劣る部分があると思いますが、僕みたいな日本人のバックローはワークレートで勝負しなければいけないと思っています。プレーの反復、連続性、しつこさ。エディーさんからも一個の仕事で終わるのではなく、すぐ起き上がって、次の仕事を見つけて、そこに動き出すことを言われています」
好パフォーマンスを披露できれば、7月中旬に再開されるジョージアやイタリアとのテストマッチの出番も掴める「セレクション」の場と自覚する。
試合を翌日に控えた会見で語った。
「イングランド戦に出ていないメンバーはハングリーな気持ちを持って、明日プレーをしたいと思っていると思いますし、自分自身もそうした気持ちで明日を迎えたいと思っています」